日産が8年ぶりに電気自動車「リーフ」をモデルチェンジ 経営危機の「救世主」となるか専門家が解説
――その一方で、日本のマーケットに合った車を、救世主の位置付けで発表するという手もあったのではないでしょうか。
「その通りだと思います。ただ、車は開発をスタートさせてから販売まで4年ほどかかります。イヴァン・エスピノーサ社長になってからまだ時間が経っていないので、これからそういった売れ筋の車を出してくるまでには、2年など長い年月が必要となります。
それまでに、どうやって日産の元気さを、キープしていくかが舵取りの難しい部分だと思います」
――日本のマーケットに合わせた車の開発などに、着手はしないのでしょうか。
「今までの日産が厳しかったのは、そうした車の開発をしてこなかったからなんですね。ここ何年も、魅力的な新車が出てきませんでした。今、さまざまな車を仕込んでいるようですが、それが出てくるまでは1年や2年はかかるんですね。
それまでに何もニュースがないと、お客さんも来なくなってしまって会社も忘れ去られてしまうので、車を一生懸命出して、少しは元気なことを言わないと賑やかにはならない。だからこそ、『一気に体制を建て直す』と言っているんだと思います」
――国沢さんから見て、新型リーフの完成度や出来栄えについてどのように感じましたか。
「旧型のリーフは基本設計が20年ぐらい前の車だったので、正直勝負になっていなかったんですね。新型リーフは、世界の1番新しい車までは届きませんが、戦えるほどの実力があると思います。皆さんに乗っていただき『良い車だな』と感じていただけるのではないかな、と」
――今、“世界”という言葉が出ましたが、世界でのEV市場に目を向けると中国なども非常に元気な印象です。日産での戦い方、立ち位置は今後のリーフを持ってして、どう変化しそうですか。
「日本では電気自動車の先がないのではないか、という話をする人がいます。世界を見ると、2050年のカーボンニュートラルに向けて踊り場かもしれませんが、確実に伸びているんですね。
中国は最先端で、日産はそこに中国で開発した一番新しい、世界でトップを戦えるぐらいの車を上海市場でデビューさせました。それが、今はもう中国ではつくりきれないくらい売れているんですね。
日産も本気を出せば良い車をつくれると思いますが、残念ながらリーフはそれよりも前の基本設計になっています。日本は開発時間がかかるので、中国では2年でできるところを4 年前のスタートになっています。そういう意味では、もう少し時間がかかると思います」
――日本向けに出る車は、また今後さらにより良いものが発表される可能性もありそうですか。
「日産自身は良いものを出してくると思います。それが売れるかどうかは全く別の話。ただ、野球もそうですが、振らないと当たらないですよね。今まで振ることもなかったというところからすると、一歩前進したのかなと感じます」
















