この祭り「絶対に見てはいけない」南北朝時代がルーツの田原の奇祭“寝祭り”見てしまった女子高生の運命は

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知ってほしいけど、見てはいけないというジレンマ

田原市の「寝祭り」は、見ると災いが降りかかると言われる不思議な祭り。ご神体を静かに運ぶ行列が街を通ると、街から人の姿が消え、まるで異世界のような光景が広がります。この祭りには、古くから続く思いやりが込められており、現代ではユーモアを交えた「謝罪祭」も行われます。今回は「見てはいけない祭り」の舞台裏に密着しました。

【動画】街から人の姿が忽然と消えた 奇祭に密着【34分14秒】

街から人の姿が消える、まさかの光景

世にも奇妙な噂の舞台は、静寂に包まれる「久丸神社」

実は「寝祭り」は“見てはいけない”という掟があります。当日は行列とともに運ばれるご神体が神社間を往復。開催地となる久丸(ひさまる)神社から神戸(かんべ)神社までの約600メートルの間、ご神体とその列を見てはいけないのです。

ご神体を運んでいるのを見てしまったら、災いが降りかかるという

所要時間はたったの10分。行列を見た人には、“災いが降りかかる”といわれています。

祭りのルーツは南北朝時代の“人の優しさ”あった

その昔、王をかくまうために人々の間で「誰も外を見ない」「家の中で静かに過ごす」と決めたそう

この不思議な祭りのルーツは、人々の「思いやり」にありました。南北朝時代に後醍醐天皇の血を引く久丸王(ひさまるおう)が戦火を逃れて田原の地へ。村人たちは彼をかくまうため、「外を見ないこと」「静かに家の中で過ごすこと」を決めたといいます。(※諸説あります)

その思いがやがて伝統となり、「誰も見ない=誰も見てはいけない」と変化し、 “見たら災い”が起こるという尾ひれがついたのだとか。

「誰も知らない!?」いざ解禁

知ってほしいけど、見てはいけない

長年続いてきた伝統にも、現代ならではの悩みが。「誰も見たことがないから、若者に知られていない」。というわけで、今回はなんと取材をご了承いただきました。

しかもこの祭り、当番制で2年ごとに役割が交代。誰も見たことがないので、毎回ゼロからのスタートを切っています。

告知はしているが、直接見てはいけないのだ

「見てはいけないのに、宣伝していいの?」という疑問もありましたが、祭りの担当者いわく「直接じゃないからOKです」なんだそう。

見てはいけない祭りの行列を、遠くから撮影させてもらいました。

なんと、うっかり見てしまった人も!

息がかかるのすらNG

午後2時、神事が行われ、ご神体を運び出す準備が始まります。人目に触れることはもちろん、息がかかるのすらNG。ご神体を箱に納める場面すら、関係者であっても“見てはいけない”のです。そして、見てはならぬ行列は神戸神社へ。600メートルの道のりを静かに進み始めます。

見てはいけない奇祭を公開

そのころ、別のスタッフが街中を歩いてみると、なんと1人も人に出会いません。まるで誰もいない世界に迷い込んだかのような気分に。

祭りの途中、うっかり行列に遭遇してしまった女子高生の姿も。うっかり見てしまっても、対処法がきちんと用意されているんです。

見てしまったら、どうすれば…?祭り後の謝罪祭の存在

なんと見てしまった人の救済措置も存在した

寝祭りの翌日に行われる「謝罪祭」では、見てしまった人たちが祈祷を受け、災いから身を守ります。ありがたいことに、赤飯とお守りまで授与されるという手厚さ。

見てはいけない――。そう聞くと、ちょっぴり怖い気持ちになってしまいます。しかし、優しさとユーモアあふれる人々がいるからこそ、伝統のお祭りとして現代にも受け継がれているのですね。

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