国府宮はだか祭の舞台裏 受け継がれる誇りと“熱狂の渦”神男を守る一番隊に密着 稲沢市
愛知県屈指の奇祭、国府宮「はだか祭」は毎年2月、稲沢市で開催される伝統行事。1250年以上の歴史を誇り、神男(しんおとこ)に触れることで厄を払うとされ、数千人の男たちがほぼ裸で神男に殺到する姿は、祭りの象徴です。
神男が現れるのは、参道から儺追殿(なおいでん)へと続く約200メートル。その短い距離に次々とはだか男たちが押し寄せ、熱気と興奮が渦巻きます。今年(2025年)は、その“熱狂の渦”に密着。まさに危険と隣り合わせの現場を取材しました。
神男を支える「鉄鉾会」の覚悟と誇り
群衆の中で力強く立ち向かい神男を守る男たち。その正体は「鉄鉾会(てっしょうかい)」のメンバーたち。彼らは過去に神男を務めた者のみで構成された、いわば“神男OB”の精鋭部隊です。
神男を経験した者は鉄鉾会に加わり、毎年この祭りに参加し続けるのが習わし。中には95歳で参加する人もいます。
彼らの任務は、参道約200メートルを通り抜け神男を無事「儺追殿」まで導くこと。中でも一番隊は、群衆の最前線に立ち、神男の盾となるもっとも過酷な役割を担います。
隊長と副隊長は、神男を務めて以降10年以上にわたり、毎年一番隊で“神守り”として活躍してきた大ベテラン。どれほど過酷な場面でも、受けた恩を後輩へ返す。それが鉄鉾会の揺るがぬ信念です。
どこにいる!? 神男を追ってはだかの群れに突入!
祭りの前日、参拝客の対応を終えるといよいよ作戦会議が始まります。神男は頭を下げ、その周囲を鉄鉾会のメンバーがぐるりと囲み支える姿は、まさに“神柱”。「神男が倒れることなどあってはならない」「万が一倒れても、仲間が身を挺して守る」。それが当たり前なのです。
5000人を超えるはだか男が参加した今年の祭り。神男の姿を見つけるのは常連でも至難の業です。その中で私たちも撮影のため、はだか姿で突入! 水を浴びるほど、熱気と緊張感は高まっていきます。
やがて、群衆が突然走り出す――神男が現れたのかと思いきや、それは“ダミー”の存在。ウワサに踊らされ、群衆が一斉に騙される場面もありました。