入手困難の幻のアサリ「垂下アサリ」身が大きくて食べ応えが抜群 漁師のオススメは“水蒸し” 田原市
渥美半島にある田原市は山の幸にも海の幸にも恵まれた愛知県きってのグルメ食材の宝庫。中でも春の時期には 「垂下(すいか)アサリ」という絶品のおいしさを誇るアサリが水揚げされているそうです。
そこで、田原市の春を彩る「垂下アサリ」を大調査しました。
今回は、垂下アサリの漁師である中川佳久さんの協力を得て漁に同行させてもらうことに。マンガと呼ばれる大きなカゴのような漁具で海底をさらうと、次々と大きなアサリが姿を現します。
すると中川さんは、採れたアサリの中からひときわ大きなサイズのものを選別。中川さんによると、一定以上のサイズのアサリを垂下アサリにするといいます。
垂下アサリとは、生きたアサリをカゴに入れて海中にぶら下げ、さらに成長させたアサリのこと。海中に「垂下」させて育てることから「垂下アサリ」と呼ばれています。
垂下アサリの特徴はなんといっても身の大きさです。栄養豊富なプランクトンを食べることで、アサリの身が大きく成長。殻からはちきれんばかりの貝に育ちます。同じ漁場で採れた通常のアサリと比べると、垂下させる前と後での差は一目瞭然です。
垂下アサリが“幻のアサリ”といわれる理由
身の大きさとおいしさからファンが多い垂下アサリですが、実はファンでもなかなか入手できないそう。渥美のアサリは近年減少傾向にあり、特に2025年は前年の5分の1ほどしかアサリが採れず、垂下アサリを提供したくても提供できない状況になってしまっているといいます。
名古屋では、両手で掬えるぐらいの垂下アサリの量が6000~7000円で取引される超高級品となっています。そのため“幻のアサリ”と呼ばれることもあります。
垂下アサリをコース料理として楽しめるのが、和食の名店の1つである「日本料理 蓬左茶寮」。「アサリしんじょのお椀」や「アサリまぜそば」など、どの料理も垂下アサリが主役として輝いています。
漁師たちのおすすめは “水蒸し”
一方で、垂下アサリの漁師ならではの楽しみ方が、水で蒸すだけの「水蒸し」。塩やしょうゆなどの調味料は一切使わなくても、垂下アサリからあふれ出るうまみを味わえます。残った汁は、お茶漬けやおじやにすると最後のひと口までアサリのうまみを余すことなく堪能できます。
さらに渥美半島のアサリ漁師たちがこの時期にこぞって狙っているのがアオヤギ。こちらも水で蒸すだけでアオヤギが持つ豊富なうまみをそのまま楽しめます。
実は愛知県は全国有数のアオヤギの産地。県内での認知度は低く、市場にもあまり出回らないそうです。漁師たちがナイショで食べている春の味覚、ぜひ渥美半島まで足を運んで味わってみてください!