名古屋のミニシアター「大須シネマ」閉館...元副支配人「大須で映画を届けることができて、楽しかった」

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大須シネマ 外観

名古屋市・大須商店街の一角にある映画館「大須シネマ」が、4月27日に閉館しました。

2019年3月30日の開館から6年間、1スクリーン42席のミニシアターとして、多くの映画ファンの心をつないだ場所。大須シネマの立ち上げに尽力した元副支配人の杉山薫さんをはじめ、スタッフの皆さんとともにこれまでの思い出を振り返ります。

【関連動画】名古屋の街の小さな映画館「シネマスコーレ」を密着取材(2022年9月17日放送)

業界のルールを知らないまま始めた映画館

1スクリーン42席の大須シネマ

もともと大須は、名古屋で初めて映画が生まれた街。最盛期には23の映画館がありましたが、戦争で焼失してしまいました。そこで「映画の街として復活させたい」と立ち上がったのが、当時の支配人の中川健次郎さん。仕事を通じて交流のあった杉山さんは、中川さんとともに、ボランティアとして映画館設立やNPO法人設立に奔走したといいます。

その後、2020年7月に名古屋のデザイン会社・株式会社大丸に運営を移管。同時に杉山さんは副支配人となり、上映作品の編成やSNSでの情報発信を担当していました。

チケット売り場に掲げられていた大須シネマの看板

杉山さんは大須シネマの運営を引き受けたものの、映画館を運営するのは初めて。当初はさまざまな業界のルールを知らなかったといいます。「配給会社の存在すら分かっていませんでした」と杉山さん。配給会社とのつながりもなく、伝手などを頼りながら必死で上映作品を探しました。

開館後はテーマ決めに苦戦

入口のガラスの扉には、上映作品の内容に合わせたキャッチコピーが

特に、上映作品のテーマ決めには最後まで苦心したそう。最初はたった1人で上映作品を考えていましたが、スタッフが増えるにつれてみんなでアイデアを出し合うように。上映テーマに沿った3~4本をピックアップし、テーマを深掘りできるように工夫を凝らしました。

「支配人からも『編成は自由に決めていい』と尊重してくれて、とても心強かったですね。スタッフのみんなと一緒にアイデアを練る時間がとても楽しかったです」

映画でつながる、スタッフの輪

(写真右から)副支配人の杉山薫さん、映写主任の高木卓瑠さん、管理部アシスタントマネージャーの新美朋瑠さん、アルバイトの前野里桜さん ※肩書は4月22日取材当時のもの

そんな杉山さんと一緒に働いてきたスタッフの皆さんにも、大須シネマへの思いをお聞きしました。

――スタッフの皆さんは、オープン当時から大須シネマに?

新美朋瑠さん(以下、新美さん):「私と高木(卓瑠)さんは、オープン当初から働いていましたね。当時私は大学生で、高木さんは卒業後でしたよね?」

高木卓瑠さん(以下、高木さん):「そうですね。大学で映画の勉強をしていました。その知識を生かしながら働けたので、すごく大きな経験になりました」

新美さん:「一から上映作品を決められる経験はなかなかないので、とても楽しかったです。前野さんは上映作品の1つだった『君の名前で僕を呼んで』を観て、大須シネマに仲間入りしてくれたんですよね」

前野里桜さん(以下、前野さん):「映画館で観られたらいいなと思っていたら、ちょうど上映をしていたので『行ってみよう!』って」

――映画を通して、人とのつながりが生まれたんですね。

杉山さん:「ほかにも大須シネマで一生懸命働いてくれたスタッフがいて、彼らがいなかったらどうなっていたか、分からないですよね」

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