開発のきっかけは「ナメクジ」動きをまねて開発した「雪が積もらない特殊なフィルム」
シリコーン樹脂に、物を滑らせるための油を入れます。このシリコーン樹脂は冷やすと、溶かせるオイルの量が少なくなります。すると一部のオイルが樹脂の中での居場所を失い、外に締め出されるように。これでナメクジの能力を応用できるといいます。
このSLUGシートの材料でゲルを作り、オイル入り・オイルなしの実験を行いました。
オイルが入ったゲルと入っていないゲルをガラスの板に置き、冷凍庫で冷やします。そして時間が経つと、オイル入りのゲルはガラスの板を滑り落ちました。
浦田博士:
「気温が暖かくなると戻ってきます。油を吹きかけると油を吸収してくれるので、1回フィルムを貼ってしまえば、長期間使える材料になると考えています」
SLUGシートの実用化は2027年を目指しており、豪雪地帯の問題解決に大きな期待が寄せられています。
生物模倣技術の未来
豪雪地帯では、太陽光パネルに雪が積もると機能しなくなる問題があります。東山フィルムの常務取締役・五島大治さんは、SLUGシートがこの問題の解決に役立つと期待しています。
太陽光パネルだけでなく、自動車のセンサーや道路標識などにも応用できる可能性もあるのです。
日本経済新聞社 山名直花記者:
「生物模倣はこれまで、生物の形を再現するものが主流でしたが、今回のように、代謝などの体の仕組みを再現できれば、これまでにないような新しい課題解決の方法が生まれるのではないでしょうか」