「こんな扱いなんだ…」旅行会社社長が挑んだ名古屋市長選挙 訪日客の"名古屋飛ばし"「変えたい」
多くの若者が行き交う名古屋・栄の交差点。1人の男性がマイクを持ち、横断歩道を渡る人に向けて必死に訴えかけます。「名古屋に巨大テーマパークを誘致したい」。名古屋市長選挙に初めて立候補した水谷昇さん(61)です。組織の支えもなく、知名度もない。それでも、「名古屋を変えたい」とたった1人で挑んだ水谷さん。その選挙戦を追いました。
訪日客の名古屋飛ばしに危機感を覚えた
水谷さんは名古屋市内で外国人観光客向けの旅行会社を経営しています。従業員は外国人5人を含む7人。立ち上げのきっかけは、単身で渡ったタイでの経験でした。北海道大学を卒業後、富士通に5年間勤務した水谷さん。その後、海外で自分自身を試したいと退社し、タイに渡りました。
17年間、現地の日本語新聞の記者として働く中で、観光に興味を持つように。そこで帰国後、外国人観光客向けの旅行会社を設立しました。「タイは観光王国。すごく経済効果があることを、タイで教えてもらいましたね」
なぜ、名古屋市長選挙に立候補することを決心したのか。理由は訪日客の“名古屋飛ばし”でした。旅行会社としてツアーを企画する中で、外国人観光客が名古屋に訪れる機会の少なさを痛感していました。
水谷さん:
「だいたい年間20本のツアーをやっていますが、そのうち名古屋に寄ったのは1本だけ。しかも、僕が “名古屋も見てください”と無理やりお願いをしました。とても喜んでいたのですが、“次からは入れなくていい”と言われました」
「少しでも名古屋に賑わいをつくりたい」と、水谷さんは2024年11月10日、名古屋市長選挙に出馬を表明しました。
広沢一郎さん、大塚耕平さんら注目候補が名を連ねた名古屋市長選挙
2024年11月の名古屋市長選挙に立候補したのは7人。注目候補は前職が後継者に指名した広沢一郎さんと、元参議院議員の大塚耕平さんです。大塚さんには、国政政党4党が揃って応援。圧倒的な組織力で広沢陣営と激戦を繰り広げました。
強力な組織の力を背景に有力候補が激しい戦いを繰り広げる中、単身で選挙戦に乗り込んだ水谷さん。公約の柱は「東京ディズニーランドや、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンのような巨大テーマパークを名古屋に誘致する」ことでした。
ですが、世間の目は冷ややかでした。