養殖のヒラメが「緑のLEDライト」で元気に 安定的に魚を確保できる「養殖の新技術」に熱視線

経済(総合) テクノロジー ライフ 企業 友だち追加

海水温上昇などを背景に、安定的に魚を確保できる陸上養殖の重要性が高まっています。そんな中、大分では独自の発想や技術で生産性を高める取り組みが行われています。

大分県はヒラメの養殖で全国トップの生産量を誇り、年間500トンのヒラメを生産。しかし、ヒラメ養殖は死亡率が高く、技術の改良が求められています。今回は、ヒラメ養殖の革新技術とその成功事例について紹介します。

緑色LEDライトで成長促進

朝6時から午後6時まで、毎日12時間は照らしているという

大分県佐伯市の養殖場では、緑色のLEDライトを使用したヒラメ養殖が行われています。ヒラメが生息する海底には緑色の光がよく届き、この光を当てることでヒラメが元気に動き回るようになります。

北里大学の研究によると、緑色の光を当てるとヒラメの餌を食べる量が1.4倍に増え、体重は1.6倍に増加。出荷までの期間が1年から9カ月に短縮され、生産量を2割増やすことができました。

温泉藻類「RG92」の活用

サラビオが開発した化粧品

大分県別府市のサラビオは、別府温泉で藻類「RG92」を発見しました。RG92は抗炎症効果があることが分かり、肌が弱い人でも使える化粧品を開発しました。この藻をヒラメの養殖に活用するアイデアを思いついたのが、友永工業の木野雄貴さんです。

友永工業 木野さん:
「人にいいなら、魚にもいいのでは? と思いました。ヒラメは病気に弱く、(通常)5割が死ぬといわれていて、育てるのが難しいんです」

赤色の部分がヒラメの内臓

ヒラメはほかの魚に比べて内臓の割合が小さく、腸も短いため餌の吸収率が悪いのです。そこでRG92を餌に混ぜることで腸を元気にし、病気になりにくいヒラメを育てることを目指しました。

友永工業 木野雄貴さん

約2年半の研究を経て、RG92を餌に混ぜたヒラメの生存率は従来の5割から8割に向上しました。日本大学の研究では、RG92が“魚の免疫力を高める”ことについて研究を進めています。

ヒラメのブランド化と販路拡大

うま味成分がアップした

さらにヒラメの身が甘くなり、イノシン酸といううま味成分が増加。身が飴色になり、味も向上しました。この技術を使ったヒラメは「温藻ひらめ」と名付けられブランド化。東京の料亭にも出荷されており、さらなる販路拡大が期待されています。

東京の料亭にも出荷

日本経済新聞社 大分支局 仲村 宗則支局長:
「温泉の藻でヒラメを元気にする養殖技術は畜産にも展開されていて、トリやウシの死亡率を下げたり、卵を産む数を増やしたりという効果が出ています。生き物を元気にするという一次産業の効率化が今後注目されます」

おすすめの記事

おすすめの記事

アクセスランキング

アクセスランキング

ページトップへページトップへ