泡沫候補はなぜ選挙に出たのか 巨大テーマパーク旗印に名古屋市長選に挑んだ男性のSNS選挙にかけた戦い
水谷さん:
「今回初めてなのでこんなに大変だと思わなかった。アナログの労力という面、組織はアナログの肉体的な労力を動員できるので、あと組織力があると、何々党の推薦だとメディアが有力候補扱いするので、そういった組織の裏付けがない候補は泡沫(ほうまつ)候補で、結局当選する見込みがないということで、メディアも取りあげてくれないわけですよ。
そうするとますます可能性がなくなる。市民がそれ(政策)を評価する前の段階で足切りですよね」
SNSの普及で変わる選挙の在り方
近年は“SNS選挙”によって、ニッポンの選挙の在り方は大きく変わろうとしています。いままでのように、組織の後ろ盾があてにならない世界です。水谷さんはそのSNSに希望を見いだしました。組織の後ろ盾があろうとなかろうと、同じ土俵で自らの政策を世に訴えることができます。
「名古屋にディズニーランドみたいなテーマパークあったらすごくね!」
そして選挙戦最終日。水谷さんはまだ当選をあきらめていませんでした。
「皆さんこんにちは、名古屋市長選挙に立候補している水谷昇と申します。よろしくお願いします。次の選挙、名古屋市民にとってとても大切な選挙です。ぜひ投票してください」
水谷さん:
「投票率が上がらないと組織票が強い。とにかく投票に行ってくださいということを前面に出してやっています」
投票率は前回比2.49%マイナスの、39.63%。広沢一郎さんが当選しました。水谷さんは4位で、1万2000人以上の有権者から支持を得ました。
年が明けて水谷さんは、高校の同級生と4年ぶりに同窓会を開きました。
水谷さん:
「俺は当選するつもりだったけどね」
同級生:
「当選みたいなもんだよね、1万票も入って」
水谷さん:
「本当に頭が下がります」
同級生:
「びっくりしたよ、テーマパークは引っ込めるの?」
水谷さん:
「いや、テーマ―パークは絶対に必要なの。東京と大阪に置いていかれないために。だからそれを俺がつくる」
水谷さんは今回の選挙の経験を次に生かしたいと力を込めます。
「今回の選挙は、最初で最後だと思っていました。ところがやってみて、1万2000人の支持も得て、この経験を生かしたいと思っています。名古屋を東京と大阪に負けない街にしていくために、また別の選挙に出てこれを訴えていきたいです」