愛知県の入浴料金530円に 光熱費高騰に悩む街の銭湯「企業努力はしているが、もう努力しきれない」

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今、さまざまな物の値段があがり、家計に大きな影響を与えていますが、影響は街の銭湯にも及んでいます。燃料など光熱費の高騰が銭湯の経営を圧迫して、厳しい状況に置かれています。

創業97年の銭湯「娯楽湯」

名古屋市千種区にある娯楽湯もその1つです。創業97年の老舗の銭湯で、地下水を使用した電気風呂や超音波風呂に、体を芯から温めるミストサウナがあります。また客を引き付けるために、さまざまな種類のシャンプーやコンディショナーなどを無料で貸し出しする独自の工夫を凝らしています。娯楽湯ではお湯を沸かすためにボイラーを使用していますが…

娯楽湯 武田和宏さん:
「これがボイラーですね。今、(重)油が高くて大変だけどわれわれの命ですから。あと電気代も少し上がっている」

ボイラーに使う重油代は、娯楽湯では月に約60万円。1年前の同じ時期と比べて10万円以上高くなったと嘆きます。さらに銭湯ならではの事情が経営を圧迫します。

娯楽湯 武田和宏さん:
「“物価統制令”があるのは今、お風呂屋さんだけ。自分たちの自由な競争、料金にしたいがなかなかそれはできない」

銭湯の入浴料金を決める「物価統制令」 愛知県は一律500円

燃料代は上がるのに入浴料金は“一律500円”

物価統制令とは、戦後、物資が不足する中でインフレを防ごうと、国が生活必需品の価格を管理するために出した法令です。銭湯の入浴料金はこの物価統制令に基づき都道府県知事が決めていて、愛知県の場合は現在一律500円です。どれだけ固定費が上がろうと、各銭湯が独自の判断で入浴料金に反映することはできないのです。

燃料代は上がる一方、入浴料金は自由に決められない。加えて施設の老朽化や後継者不足もあり、愛知県内の銭湯の数は10年で半減しました。

娯楽湯では、経営を維持するためにお湯の温度に影響がないことを確認したうえで、営業終了の30分前にボイラーのスイッチを切っています。燃料を少しでも節約するためです。

娯楽湯 武田和宏さん:
「企業努力はしているが、それではもう努力しきれないのが現状。本来ならこの金額でやりたい。そりゃたとえ10円、20円でも上げていただきたいなというのが本音」

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