老舗畳店開発の「白い畳」の材料は「カキの殻」 イグサ農家が減って窮する畳業界の救世主になるか
配合する量によっては割れやすくなる炭酸カルシウム
すぐにカキの殻を使った畳表の開発に乗り出した伊藤さん。ただ、一朝一夕にはいきませんでした。炭酸カルシウムは樹脂の強度を上げますが、配合する量が多いとうまく樹脂と結合ができず、割れやすくなってしまいます。少なすぎると、ペラペラでふにゃふにゃな素材に。
伊藤畳商店 伊藤さん:
「そもそもうまくいくとは思ってなかったけど、まさかこんなところでコケるとは思っていませんでした。もうやるしかない、と思っていました。年々、イグサ農家さんが減っていくのもあって、新素材はどこかで挑戦しないといけないと」
住宅トレンドや生活スタイルの変化で、畳の需要は減少し、材料のイグサを作る農家も減りました。伊藤さんはイグサの代わりになる素材を探していたのです。配合する量を試行錯誤すること、3カ月ほど。ようやく、ポリエチレン7に対してカキの殻3ほどという黄金比率を割り出しました。
引っ張られる力に対する強度の検査をしたところ、この畳表は、イグサの畳表より、約2.6倍の耐久力があることが分かりました。また、ポリエチレンは溶かせば再利用が可能なため、張り替えたあと、再び畳表に作り直せるのも特徴です。
伊藤さんは、カキの殻の次の展開も考えていました。
伊藤畳商店 伊藤さん:
「カキ殻の効能はすごく高いものなので、しっくいの塗装に使うなど考えています」