日本初の「全盲プロレスラー」 両目の失明、がんを乗り越え、諦めた夢に再挑戦「元気の輪を広げたい」
ただ、試合は徐々に杉浦選手のペースに。ダイナミックなドロップキックやダイビング・ボディープレスを決められた大舘さん。カウント3寸前、フォール負けギリギリのところで必死に跳ね返し、何度も立ち上がる。しかし、最後は杉浦選手の締め技により3カウントフォールで熱戦は幕を閉じた。初勝利の夢は持ち越しになったが、観客にとっては次回の活躍が楽しみになったに違いない。
「いまの実力が全部出ました。また次につながると思っているので、必ず勝つまでやります」
“元気の輪”を広げたい
そんな大舘さんの奮闘ぶりを見た観客は「元気をもらえた」「40歳前でデビューしたのはすごい。何をするにも遅いことはないと気づかされた」と勇気づけられていた。
「僕の試合を見て、そうした言葉をいただけるのは励みになりますね」
プロレスラーとしての初勝利を目標にしつつ「挑戦する姿、やりたいことにひたむきに向き合う姿を息子に見せたい」と大舘さんは力を込める。そして歯を食いしばりながら締め技を繰り出し、相手からタップを奪おうと果敢に挑む――。ひたむきにプロレスと向き合う彼の姿は、この先も見る人の胸を熱くさせ続けるだろう。
「たとえ夢を諦めたとしても『もう一度挑戦してみよう』と前を向く。そんな人が1人でも増えたらいいですね。僕のプロレスを見てもらい“元気の輪”が広がったらうれしいです」