最も売れたのは「北海道フィギュア土産シリーズ」カプセルトイに見る「ご当地グッズ」開発戦略
北海道帯広市に本社を置くカプセルトイ専門店「#C-pla(シープラ)」が急成長を遂げています。出店エリアに根差したご当地グッズの開発に力を注ぎ、売り上げを大きく伸ばしているのです。地元企業とコラボした独自の商品開発の取り組みを追いました。
カプセルトイ専門店「シープラ」の成長
1974年に創業したシープラは、2018年にカプセルトイ事業に参入しました。現在は全国に1000店ほどのカプセルトイ専門店を展開しています。電源を必要とせず、置くだけで販売できるカプセルトイは、コロナ禍で空いた商業施設に積極的に出店。その数は年々増加し、北海道以外の売り上げが9割を占めています。
トーシンの出店場所の選定には、「店の前の通行量」が重視されています。
トーシン 宮本達也社長:
「たまたま通りがかったら『この店があって面白そうだから入ってくる』というお客さまが9割を占めています。どれだけの入店客数が見込めるか、銀座でも心斎橋でも」
また、「ローカライズ」戦略も重要です。東京の店では特定のステッカー、川崎では「ご当地キーホルダー」など、地元にこだわった限定商品を開発しています。
オリジナル商品の開発
これまで最も売れたカプセルトイは「北海道フィギュア土産シリーズ」で、30万個も売れました。北海道出身のロックバンド「GLAY」や北海道発祥のスープカレーなどがテーマとなっています。
トーシン 宮本社長:
「オリジナル商品がほしくてシープラに来店するお客さまも多く、これが集客のきっかけとなっています」
日本経済新聞社 高尾泰朗記者:
「カプセルトイ専門店は扱う商品で差別化しづらい業態だからこそ、トーシンは『シープラにしかない商品』の育成を図っています。一方でバンダイなど製造大手と違い、独自の強力なIPを保有していません。地元企業との限定商品開発など、企画力で大手に立ち向かいます」
企画力で差別化する取り組み
東京・渋谷にあるシープラの渋谷センター街店は、月に1億円を売り上げる人気店舗です。ここでの人気商品「スクランブル交差点到達証明書」は、「シープラ」がイチから企画したオリジナル商品です。すぐ近くにある東京オフィスにはアクリル3Dプリンターがあり、商品開発部のメンバーが日々新製品の試作を行っています。
まず100個ほど試作し、売れ行きが好調なら量産化するというスピード感で、世の中の流れをキャッチしています。オリジナル商品は権利費用がかからないため利益率が高く、今後の収益の柱にする考えです。現在は売り上げの2%程度ですが、5年で10%まで引き上げる計画です。
トーシン 宮本社長:
「ローカライズ、地域密着の戦略を海外の店でも同じことをやれば受けるんじゃないかな、と考えています。日本のカプセルトイにまったく触れていない国々にも紹介をしていきたいです」