日本の「美濃焼タイル」が「中東」へ イスラム建築のタイルに需要あり 国内需要が落ち込む中で海外に活路
風呂場やトイレの床や壁に使われる国産のタイルの8割以上は、美濃焼の産地でもある岐阜県と愛知県で作られています。生活スタイルの変化に伴って国内でのタイルの需要が年々減少する中、美濃焼タイルがいま、新たな販路として期待を寄せているのが「中東」の市場です。
美濃焼タイルの魅力と特徴
美濃焼タイルを使ったオブジェがフランスで販売されており、価格は約160万円です。国内のタイル需要が減少する中、エクシィズは海外市場に活路を求め、伝統技法を駆使して芸術性の高いタイルを提供しています。
丸仙化学工業所の窯では、自然の焼きむらが特徴の美濃焼タイルを製造。棚に並べたタイルをトンネルのような形の窯にいれ、側面から直接炎をあてて焼き上げます。
炎の当たり方によって色の濃淡が変わり、独特なデザインに仕上がります。この焼きむらが美濃焼の魅力で、世界中で高く評価されています。
エクシィズ 笠井 政志会長:
「どれだけたくさん貼っても1枚として同じ色はない。これだけのハンドメイド感を出す工場は、世界中を探しても何社あるかという感じです」
国際家具見本市で学んだブランドづくりの重要性
しかしユニットバスの普及や和式トイレの減少に伴い、国内のタイル需要は年々減少しています。そこでエクシィズは海外に活路を見いだしました。2018年にイタリアのミラノで開催された国際家具見本市「ミラノサローネ」に出展。ブランドづくりの重要性を学びました。その後、オーダーメードのタイル装飾を海外に発信する「タジミカスタムタイルズ」を立ち上げました。
未来の展望と生き残りの鍵
タジミカスタムタイルズは、美濃焼伝統の技法を駆使して芸術性の高い注文に応えます。
例えば、オーストラリア・メルボルンに住む設計士の自宅の洗面台には、美濃焼のタイルをあしらいました。設計士から「自宅の洗面所を落ち着いた空間にしたい」との依頼があったのです。緑色の濃淡と光と影が複雑な表情を生み出し、「まるで竹林の中で瞑想しているようだ」と施主も大いに満足しました。
オーストラリアのタイルのバイヤー、ウィリアム・ピアースさんは「多治見のタイルや陶磁器は、一般的なものでは得られない自然の良さがある。装飾品としても使われているので、今後市場での成長が期待できる」と、その魅力を語ります。