戦国時代の幻の城「帰雲城」数兆円規模の黄金を保管か 天正大地震で内ヶ嶋氏一族滅ぶ、金はどこへ?
出土したのは日本在来馬の骨か
出土した中でも特に驚いたのが「骨」だ。「小柄な馬の胸椎ではないか」と予想するのは、馬の博物館学芸員の長塚孝さん。「木曽馬に近い、日本在来馬という品種ですね」と話す。
歴史捜査でヒントにした「江馬氏館跡」にも馬屋があったため、帰雲城にも馬屋があったと考えられる。
ほかにも謎多き出土品となっていたのが、丸い穴の開いた木片。高山にある家具メーカーの飛騨産業に話を聞くと、糸車の部材ではないかとの見解を示した。
日本では古代から藤布(ふじふ)と呼ばれる織物があり、その原料となる藤の糸を紡いでいたのではないだろうか。藤布は山に自生する「藤づる」を使って制作する。非常に肌ざわりが良く、暖かいのが大きな特徴だ。
しかも藤の糸は燃えやすいため、火縄を作っていたのではないかとの噂もある。
戦国時代の屋根材に使われたであろう木片に、馬の骨、糸車の部材――。これまでは常御殿の横を掘り進めていると信じていたが、出土品や専門家の話をもとにすると、現在地から少し山側に常御殿があり、その近くの蔵に金銀財宝が保管されていたのかもしれない。
数多くの出合いと思いがけない発見が、幻の城の存在を裏付けている。消えた戦国の城「帰雲城」の眠りから覚める日は近いだろう。
※この記事は2021年5月29日に放送された番組「消えた戦国の城 弐ノ巻~黄金伝説 白川郷の秘めごと~」の内容を一部抜粋しています。