「日本酒を再評価する機会に」“日本の伝統的酒造り”がユネスコ無形文化遺産に登録 愛知の酒蔵も期待

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12月5日(日本時間)、パラグアイで開かれたユネスコの政府間委員会で、「日本酒や焼酎などの日本の伝統的酒造り」が無形文化遺産に登録されました。愛知県の酒蔵からも期待の声が上がっています。

澤田酒造 日本酒

お猪口に注がれた、澄みきった日本酒。1848年に創業した澤田酒造の「白老」です。11月下旬の早朝、常滑市にある蔵を訪ねると、日本酒のもと「もろみ」をかき混ぜる作業が行われていました。

澤田酒造 杜氏 三浦努さん:
「どんどん発酵が進んできて、1度泡がパッと上がってそれが下がっているというのを見て、まあこれくらいだなと」

経験や勘を頼りに「もろみ」を発酵させるのは、伝統的な酒造りのワザです。

杜氏が手の感覚を通して、微妙な温度管理を行う

ワザは原料のコメを蒸す工程にも、澤田酒造では木製のせいろ「こしき」を使った昔ながらのやり方を続けています。

蒸されたコメは、掘り出され、放冷機へ。冷ます過程でこうじ菌が振りかけられ、高温多湿な「こうじ室」という部屋に運ばれます。こうじ室では、菌がふられたコメを混ぜこんだり、コメを広げて表面積を増やしたりするなど、杜氏らの手の感覚を通して、微妙な温度管理が行われます。

澤田酒造では、こうじづくりで、昔ながらの「こうじ蓋」を使って管理しています。多くの手間がかかり、ほかの蔵で使っているところは少ないといいますが…

澤田酒造 杜氏 三浦努さん:
「やっぱり手間はかかりますけれど、やっぱり1番いいものができると思ってやっていますね。思ったような『こうじ』をつくるというか、乾燥もさせやすいし、やっていて楽しいていうのもありますよね」

こうした「こうじ造り」などの手作業の“ワザ”の結集が伝統的な酒造りの特徴です。

清酒の消費量の推移

そして12月5日…

「採用されました」

パラグアイで開かれたユネスコの政府間委員会で、日本の伝統的な酒造りが無形文化遺産に登録されました。国内の無形文化遺産は今回の登録で、23件目となります。6代目社長の澤田薫さんは、期待感をあらわにします。

澤田酒造 澤田薫 社長:
「もう1度日本酒を再評価していただけるような、日本に日本酒あったよねとか、おいしいよね、みたいに見直していただく、そんな機会になるんじゃないかなと思っています」

澤田社長が、期待を寄せる背景には、日本酒の消費量の減少があります。2003年度に、82万6千キロリットルだった清酒の消費量は減り続け、およそ20年間で半分以下になりました。

澤田酒造 澤田薫 社長:
「日本酒は国内で消費がどんどん減っているというところが、やっぱり根本的に厳しいところです」

「やっぱりまだまだ日本酒のことを実は知らない人も多くいるので、まずは日本酒を知ってもらうこと、そして当社の酒を知ってもらう機会をどんどん増やしていって、日本酒の楽しさや、奥深さを味わっていただく機会を作っていきたいと思っています」

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