選挙演説動画がユーチューバーの収益源に 動画売買で収益の50%受け取り 選挙戦は稼げるコンテンツ
選挙において、インターネットやSNSの影響力が大きくなる中、いま、選挙戦が「稼げるコンテンツ」としてネット上で注目されています。
11月24日投開票された名古屋市長選挙で初当選を果たした広沢一郎新市長。選挙戦では…
名古屋市 広沢一郎新市長:
「ネットでどう書かれているかをみるが、その書き込みの数が(選挙戦中)どんどん増えた。手ごたえ感じた」
河村たかし前名古屋市長:
「(これまでの選挙と)違っとったな。いままではマスコミの報道見て受け身だった。1人ずつ発信するぐらいだったけれど、やっぱり(ネットやSNSが)力になることがわかってきた。ええんじゃないですか」
いまや選挙戦を追いかけるのは新聞やテレビだけではありません。
街頭演説中、2人の間近でカメラを構えていたのは、ユーチューバーです。河村前市長お馴染みの自転車街宣中も、カメラを止めず自転車で追いかけました。このユーチューバーのチャンネルでは兵庫県知事選挙の演説の動画も投稿されていて、現時点で170万回以上再生されています。
ユーチューブでは、配信中に視聴者から”投げ銭”と呼ばれる寄付を受け取ることができるほか、動画の広告を流すことで再生回数が多ければ多いほどたくさんの収益を得ることができます。
一方で、こちらの男性の配信は視聴者数が8。それでも撮影を続ける理由がありました。
ユーチューバー:
「僕の場合は(撮影した)素材を誰かに提供するのが多いんで。(視聴)人数は多くない。いっても数万とか」
―――提供というのは誰に?
「他のユーチューバーに。それで収益の3分の1とか半分とかもらう。ライブよりも収入が多い」
演説の動画素材が売り買いされているといいます。
こうした動きが拡大すると「稼げるコンテンツ」と認められた人だけが支持を集めることにはならないのでしょうか。情報政治学が専門の名古屋外国語大学の高瀬淳一教授に話を聞きました。
名古屋外国語大学 高瀬淳一教授:
「情報が偏るとか、自分が好きな情報しか見ない、ということを批判したところでしょうがないというのと、有権者はそこまでばかではない。他の意見があったり、見ようと思えば他のものが見られるということもわかっているから、逆に能力が見極められる。
SNSの発信とかユーチューブの長い演説を見ると(候補者の)愚かさもわかるし、本気でもわかる。誰かに引っ張られて立候補しただけなんだなということもわかってしまうので、むしろそういうことがわかる方がいい」
さらに候補者に求められることも変わってきているといいます。
名古屋外国語大学 高瀬淳一教授:
「追っかけが出るぐらいの状況が作り出せない候補者というのは、泡沫候補=相手にされてないということになる。政治家でも自分に力があるんだということを、かなり演出を込めて見せられるような力量がないとやっていけない」