日本人学校男児殺害から2カ月 犯行動機明らかにしない中国は「国際法違反」 日本の根深い弱腰外交
惨劇から2カ月たっても闇だらけ
2024年9月18日、中国南部の都市、深センで、日本人学校に通う男児が登校中に刃物で刺され死亡した。惨劇から2カ月。犯人は44歳の無職の男だが、中国政府はいまだに犯行の動機を明らかにしていない。
共同通信香港支局 一井源太郎記者:
「中国政府が非常に神経質になっていることは間違いない。どのような外交的影響を与えるのかを考慮せず情報公開することは絶対ありえない」
中国のシリコンバレーとも呼ばれる深センには、3600人の日本人が暮らすとされる。情報統制が敷かれる中、不安な生活を強いられたままだという。
共同通信香港支局 一井源太郎記者:
「子どもと一緒に学校に来られている方たちの緊張は相当高まっている。子どもがすごく怖がっていて、外で子ども同士遊ばせることができないとか、生活パターンを変えたりしている」
SNSでは「反日」野放し
そんな不安をさらにあおるのが中国のSNSだ。
「日本を滅ぼすのは人類にとって最も良いことだ」
「日本の悪魔は地獄行き」
「醜い国は日本と一緒に消えてくれ」
こんな反日コメントが今も野放し状態になっている。
習近平政権が犯行動機を明らかにできないワケ
「犯行動機として考えられるのは、日本人憎しでやったか、もしくは失業してイライラして誰でもいいから無差別でやったか。このどちらか、または両方だ」
テレビ愛知の「激論コロシアム」に出演した現代ビジネス編集次長の近藤大介氏はこう指摘した上で、中国政府には犯行動機を明らかにできない“事情”があるという。
現代ビジネス編集次長 近藤大介氏:
「もし反日が動機なら、習近平政権の反日教育・反日宣伝が原因だったとなり、日中関係が悪くなる。一方、失業してイライラしてやったとなれば、今度は失業させたのは誰だとなって、これも習近平政権のせいじゃないかと突き上げがくる」
つまり政権への逆風を恐れ、口をつぐんでいることになる。
予兆はたくさんあったのに・・・警戒怠った日本外交
一方、ベストセラー「日本外交の劣化」の著者で、前駐オーストラリア特命全権大使の山上信吾氏は、日本政府が警戒を怠ったと手厳しい。
前駐オーストラリア特命全権大使 山上信吾氏:
「一義的には中国側の責任でそこを問わねばならない。だが同時に日本側としてできることはいっぱいあった。というもの予兆、兆しがあったからだ」
9月に深センで男児が刺殺される数カ月前、蘇州で2回、日本人への切り付け事件が起きている。また5月には、中国の呉江浩駐日大使が「日本が台湾の独立に加担すれば日本の民衆は火の中に連れ込まれる」と、外交官とは思えない好戦的な言葉を発し非難の的に。その翌月には靖国神社で放尿、落書き事件が起きている。
山上氏は「一連のシークエンス、流れを見れば、警戒しなければいけないな、という兆しはいくらでもあった。しかも事件が起きた9月18日は中国にとって国恥の日。もっと厳戒態勢を敷くことはできなかったか、ここにも『日本外交の劣化』が見られる」と指摘した。