最新技術で海洋ごみに挑む技術者がカッコよさにこだわる理由 目標は「昼は技術者、夜はジャズプレイヤー」

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水質を追いかけた新人時代

汚濁が進んでいる川に入る吉田さん

入社した八千代エンジニヤリングは総合建設コンサルタント。道路や鉄道、ダムなど社会インフラの課題解決を図る会社です。施工以外の建設に関わる全ての業務に携わっていて、その1つが環境問題への取り組み。例えばダムをつくる際に、周辺の水質が悪くならないか、生き物たちが絶滅してしまわないかなど建設に関連する環境問題の調査も行います。

吉田さんは入社以降、アオコや赤潮などの水質問題を解決するための仕事に10年ほど携わっていました。ところが心に少しずつ変化が。

吉田拓司さん:
「この仕事をやっていて、自分の武器がないな、といったモヤモヤした気持ちになっていたんです」

【前編記事】川へ流れるごみの量をデータ化する最新の画像解析技術

30代半ばに第2の転機が訪れる

SDGsに関する取り組みについて紹介する吉田さん

「強い専門性を武器にしたい」と考えていた吉田さん。そこで、学生時代にお世話になった二瓶教授に「研究の社会実装をしたい」と相談。川ごみモニタリング技術(RIAD)を紹介してもらいました。吉田さんは、これからの海洋プラスチックごみ問題を考えていく上では、必要な技術であると確信して製品化を目指しました。

プラスチックはサイズによって、5ミリを境にマイクロプラスチック、マクロプラスチックに分かれ、プラスチックの流出量を考えていく上では、サイズ別にどの程度流出しているかを把握する必要がありました。

二瓶教授が河川におけるマイクロプラスチック研究の第一人者だったこともあり、再び大学院に通い、働きながら博士課程で3年間研究を行うことになりました。

自治体とも連携

30代半ばでの学業と仕事の両立。思った以上に大変でしたが、それでも諦める気はなかったと話します。

吉田拓司さん:
「家庭や仕事もあるため、睡眠時間を削らなければならない状況が続いたことは苦労しました。今ではきっと難しいと思います。当時はとても大変でしたが、直感で「このタイミングで一生懸命勉強しないと将来、楽しくない人生になりそう」という強い懸念があったため、頑張ることができました」

「博士課程では「日本の陸域から海域へのプラスチック流出量」を現地での観測結果を用いて算定しました。現在は3年間の研究内容がそのまま活かされています。環境省のプロジェクトにも携わり、人脈も広がりました」

大学の研究は、社会に役立つのに埋もれていることも少なくないと思いますが「研究内容を社会実装してビジネスをする」というのが自分の強みになりました。

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