「誰もやったことがない」最新の画像解析技術でごみ捨て場から川へ流れるごみの量をデータ化 対策に生かす
ごみステーションから河川へプラごみが流出している可能性 対策して比較
吉田さんは2023年度にも伊賀川でのモニタリングを実施。その際、他の地域との河川と比較した結果、年間のごみ流出量が少ない可能性があることがわかりました。理由としては、河川のごみは拾いやすく、清掃活動の頻度が高いことが考えられました。
しかし、伊賀川でのプラスチック流出量はゼロではなく、プラスチックごみの流出が確認されているのが現状でした。可能性として考えられるのは、ごみステーションからの流出です。
他の河川では、国や地方自治体などの調査により、ごみステーションから河川へのプラごみ流出が確認され、流出の原因の1つとして考えられてきました。伊賀川周辺のごみステーションでも、道路側への飛散防止策は実施されているものの、河川側への飛散防止に関して対応していない箇所もあり、河川にごみが流出しやすい状況でした。
そこで、今年度の調査では、9月下旬に石神橋と坂谷橋の間の川沿いに設置されているごみステーション29カ所から河川側にごみが流出しないようにネットを張るなど補強。強化前と後で川ごみの量をモニタリングして比較できるようにしています。
モニタリングの解析作業など最終的な結果が分かるのは2025年3月。しかし、ここ数ヶ月のデータの中には驚きの結果も。
まとまった雨が降った8月31日、上流である石神橋では、ごみはほぼ0キロだったのに対し、下流の坂谷橋では約3.5キログラムのごみを観測しました。石神橋と坂谷橋の間には流出防止対策前のごみステーションがあり、動画データにはごみステーションに捨てられたとみられるプラスチックの食品トレイのようなものが映っていました。
吉田さんは「ごみステーションから流れたと推測され、流出防止策に効果があるのでは」と話します。
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吉田さんはごみステーションから河川へのごみ流出削減効果をデータで確認できることは画期的だと話します。
八千代エンジニヤリング 開発推進部プロジェクト推進課 吉田拓司さん:
「ごみステーションから河川へのごみ流出対策を行うことで,川から流れるごみの輸送量が削減したかどうか、具体的に公開し、定量的に示したことって誰もやったことがないんですよ。だから、きちんとモニタリングしてデータとして出すだけでも価値があると思っています。もしかしたら世界初なんじゃないですかね」
「もしごみの流出量削減が見られた場合は、本当にごみステーションにおけるプラごみ流出防止対策による効果なのか、他の要因は考えられないのかについて整理をした後に、その結果を市民や国や地方自治体,有識者に発信していき、少しずつ横展開していければと思ってます」
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