ベテラン外商に密着したら、新たなターゲットは次世代顧客だった 外商で全売上高の半分の松坂屋名古屋店
日本一の外商を目標に掲げている松坂屋名古屋店の外商部隊。売り上げの半分を占める精鋭部隊で、特別な顧客である「お得意様」に対してきめ細やかなサービスを提供しています。最近は目標達成のために、ある顧客層の獲得に力を入れています。そこでベテラン外商員に密着しました。
外商部隊の役割と重要性
松坂屋名古屋店の北館6階にある外商フロアでは、多くの外商員が電話でお得意様と連絡を取り合っています。外商部隊は、特別な顧客である「お得意様」に対して、日常的な御用聞きや商品提案を行い、売り上げの半分を支える重要な役割を担っています。そこで注目されているのが、「次世代顧客」です。
次世代顧客へのアプローチ
次世代顧客とは、主に40代から50代の新しい富裕層を指します。そんな松坂屋名古屋店のベテラン外商員、大橋正延さんに同行させてもらいました。大橋さんは外商員歴26年、1億円超えの絵画の販売実績もあります。最近では建設業を営む50代の経営者を担当。この顧客は外商利用歴1年半で、大橋さんからフィンランド製の本格サウナ「バレルサウナ」を購入しました。
顧客:
「松坂屋がサウナ売っていると思わないよ」
高級商品から趣味・娯楽まで幅広い提案
松坂屋名古屋店の外商の世代別の客単価をみると、50代・40代以下のいずれもコロナ禍をはさんで大きく伸びています。次世代顧客は趣味や娯楽に出費を惜しまない傾向があり、高級時計や800万円のオーダーメードの旅行プラン、3LDKで価格2億7000万円のマンションなど、多岐にわたる商品を提供。顧客の要望に最大限応えることで、満足度を高めています。
大規模改装計画と未来の展望
松坂屋名古屋店は、次世代顧客をターゲットにした大規模改装計画を発表しました。投資額は63億円、総面積の3割以上を改装する過去最大規模の計画です。目玉は本館8階に設けられる全国初のアート専用フロア。若年の富裕層をターゲットにしており、同業他店との差別化を図ります。
日本経済新聞社 竜田菜美子記者:
「高齢化が進み、これまで主要顧客だった60代以上の購買力が頭打ちになっています。松坂屋名古屋店のように内装に注力し、嗜好品の充実で若い富裕層を振り起こし、顧客の代替わりに対応できるかがカギとなりそうです」