「透明な醤油」を「世界の調味料」へ 独自技術で色素を抜き「食材の色を変えない」強みで世界を狙う
東京・浅草にある熊本県の企業のアンテナショップが、外国人観光客でにぎわっています。注目を集めているのは、まるで水のように透き通った「透明醤油」。創業155年の老舗しょうゆメーカー「フンドーダイ」が開発した透明醤油は、その斬新なアイデアとおいしさから、国内だけでなく海外でも話題を呼んでいます。
透明醤油の開発とその特徴
「透明醤油」は、フンドーダイが特別な技術で色素を抜き、透き通ったしょうゆを実現しました。この技術は企業秘密であり、濃い口しょうゆを特殊な機械で透明にしています。透明醤油は素材の色を壊さず、和え物や煮物に使い勝手が良いと評価されています。価格は一般的なしょうゆに比べて割高な100ミリリットル540円ですが、これまでに120万本以上が販売されるヒット商品となりました。
海外での人気と売り上げの増加
透明醤油は発売から5年間でその人気が急上昇し、昨年度の海外での売り上げは前年度の2倍に増加しました。この背景には、“うまみ”という概念が海外で広く認知されていることが挙げられます。特にアメリカやヨーロッパでの需要が高まっており、透明醤油は現地の料理にも取り入れられているのです。
ICタグによる情報提供とマーケティング戦略
2024年3月、フンドーダイは透明醤油のボトルに半導体技術を使ったICタグを導入しました。スマートフォンを近づけると、商品の説明やレシピが世界中の100以上の言語で表示されます。また、どこで開封されたかを確認できるため、マーケティング戦略にも役立っています。アメリカが最も多く、開封率は14.3%、ヨーロッパでは9.5%と、具体的なデータをもとにした戦略が可能です。
現地料理への応用と多国籍な使い方
透明醤油は和食だけでなく、現地の料理にも応用されています。日本にあるイタリア料理店ではパスタに使用され、イタリア人も「だし」を大事にするため、透明醤油のうまみが重宝されています。透明醤油は、現地の食材や料理に合わせた新たな調味料としての可能性を秘めています。