新幹線の深夜のレール更換作業に密着 作業完了はタイムリミット5分前【東海道新幹線開業60周年】
開業から60周年を迎えた東海道新幹線。今回は、最新のレール更換作業と新たに開発された点検システムについて紹介します。線路の安全を守るための保線作業は夜間に限られた時間で行われ、技術革新と労働力不足への対応が求められています。作業現場の現状と未来について取材しました。
夜間に行われるレール更換作業
東海道新幹線の保線作業は、終電から始発までのわずか5時間半の間に行われます。作業員たちは夜11時半頃から早朝5時頃まで、750メートルのロングレールを更換するために迅速かつ正確に作業を遂行。古いレールを取り外し、新しいレールを設置するこの作業は、安全性が求められる中で行われます。
レール更換器の仕組みと効率化
レール更換作業には「レール更換器」という大きな器械が使用されます。第1更換器が新しいレールを持ち上げ、第2更換器が古いレールを取り外して新しいレールを正しい位置にセットします。レールを第1更換器にセットするだけでも一苦労です。
最高2000度で鉄を溶かし、継ぎ目なくレールをつなぐ
新しいレールを設置したあと、作業員は専用のバーナーでレールを溶接します。最高温度2000度の火で鉄を溶かし、継ぎ目なくレールをつなぎ合わせます。
温度が下がったところで表面を磨き、段差をなくします。最後に更換した年月を表示して、作業完了。撤収作業や工具の数の点検なども含め、すべて終わったのはタイムリミットの約5分前でした。
岐阜羽島保線所 助役 西山 浩之さん:
「限られた時間の中、制限があるので施工方法を関係会社と1カ月前から打ち合わせをして、この作業が無事に終わるように安全管理や品質管理をしています」
新しい点検システムの導入
線路の点検作業には、現在新しいシステムが開発されています。営業車両の床下にカメラやセンサーを取り付け、走行中にデータを取得する「軌道材料モニタリングシステム」です。このシステムにより、高速で走る列車からでもレールや枕木の状態を正確に把握できます。
※「枕木」とは、レールの下に敷き並べられた部材の1つ。レールの間隔を一定に保ち、車両の重さを分散させて地盤に伝える役割を担う。