消防隊員「女性の小さな、かすかな声が聞こえた」困難極めた救助の様子【蒲郡土砂崩れ「証言」】
8月下旬に蒲郡市で起きた土砂崩れ。3人が亡くなりました。現場ではいったい何が起きていたのか。番組では現場で対応にあたった人物を徹底取材。現場で救助活動にあたった愛知県蒲郡市の消防隊員に話を聞きました。
「女性の小さな、かすかな声が聞こえた」
土砂崩れ発生後、現場にいち早く入ったのは、地元蒲郡市の消防隊員でした。蒲郡市消防本部・第二指揮隊長の内田喜城さんです。通報から13分後の午後10時22分に現場に到着しました。
内田さん:
「実際には現場に到着すると、倒壊家屋により現場の直近まで車両が到着できない。迂回をして現場に接触した」
被害にあったのはミカン農家だったとみられ、倒壊した住宅の手前には農業用倉庫がありました。しかし倉庫も倒壊していたため、車では住宅に接近することができませんでした。そのため迂回して、歩いて住宅までたどり着いたといいます。
内田さん:
「現場は実際、建物がそこにあったのかもわからない。なので倒れた屋根の部分は把握できるが、それが実際の建物がどこにあったのか、道路上に建物が横ずれしたのか、倒れたのか(わからない)、屋根部分が道路にあった形になる」
さらに困難だったこととは…
内田さん:
「街灯も少なく、状況がすべて把握できない。崖の上の方まで車両が接近できない関係で、照明器具で照らせない。光量不足で災害全体が見渡せない」
全貌が分からないまま行われた手探りでの救助活動。開始から約2時間後の午前0時21分、1人目を救助しました。
内田さん:
「全身が埋もれているという状態。土砂で押された倒壊家屋の中で、救出した時は土砂まみれのところをかきわけてというより、倒壊家屋をかきわけながらというイメージ」
1人目の救助後、消防隊員らは「サイレントタイム」と呼ばれる時間を設けました。音が出る作業を一旦全て止め、呼びかけに応じる声があるかどうか、確かめる活動です。耳を傾けると…
内田さん:
「女性の小さな、かすかな声が聞こえた」