市職員「40ミリの雨で土砂災害の想定はない」「事前の予見は難しかった」【蒲郡土砂崩れ「証言」】

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8月下旬に蒲郡市で起きた土砂崩れ。3人が亡くなりました。現場ではいったい何が起きていたのか。番組では現場で対応にあたった人物を徹底取材。災害対策本部や現場で対応にあたった蒲郡市役所の職員に話を聞きました。

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「1時間40ミリの雨で土砂災害が起きる」という想定はなかった

山本さん「1時間40ミリで土砂災害が起きるという想定はしていなかった」

蒲郡市危機管理課の山本一彦さんです。自宅で土砂崩れ発生の連絡を受け、車で1人で現場に向かいました。現場に到着したのは通報から約30分後の午後10時半過ぎでした。

蒲郡市危機管理課 山本一彦副主幹:
「見た瞬間に蒲郡の組織力では対応ができないと判断をしました。自宅も大きいので被害も大きい。時間もかかると。その時点で課長に連絡をして自衛隊の災害派遣を要請してくださいとお願いした」

被害の大きさから、自衛隊の要請を即座に判断した山本さん。現場の土地柄は、把握していたと言いますが・・・

蒲郡市危機管理課 山本一彦副主幹:
「あの(発生)前にたしか1時間40ミリ程度の雨が降ったと記憶しているが、1時間40ミリで土砂災害が起きるという想定は、まったくしていなかった」

蒲郡市危機管理課の山田浩隆さんです。土砂崩れ発生後、災害対策本部で陣頭指揮にあたっていました。蒲郡市では、気象庁が発表する気象警報や注意報をもとに避難情報を出すのかどうか判断しますが…

蒲郡市危機管理課 山田浩隆課長:
「当時はまず雨に関して大雨警報も出ていない、大雨注意報の状態。状況としてそれほど切迫した気象条件ではなかったと認識している」

土砂崩れ発生の予見は難しかった

当時の蒲郡の土壌雨量指数は「注意」レベル

土砂崩れの発生前日からの雨雲レーダーでは、東三河地方を中心に雨雲の流れ込みが続きました。さらに、土の中に雨水がどれくらい含まれているかをしめした土壌雨量指数は、土砂災害が起きた午後10時ごろ蒲郡市は黄色の「注意」というレベルでした。

当時、市内には、警報は出ていませんでしたが、蒲郡市が、気象条件や地形などを総合的に判断して、避難情報を出すことはできなかったのでしょうか?

蒲郡市危機管理課 山田浩隆さん:
「それをやりだすと空振りの率がかなりあがって、毎回毎回、避難指示が何もないのに出るとなる。早めに避難指示を出すのが大事だが、何も条件なく出すのは違うのかなと思います」

蒲郡市は当時、台風10号の接近に伴い、「半体制」という形をとりすぐに関係部局は動けるように自宅待機をしていました。土砂崩れ発生前後の市の体制に問題はなかったとしています。

蒲郡市危機管理課 山田浩隆さん:
「気象条件、地形条件含めて予見できたかといわれると厳しい。今、同じ状況になっても想像できたかというと、多分無理かな。土砂災害はどこでも起きると周知していくしかない」

蒲郡市としては、仮に今回の土砂崩れの現場が、土砂災害警戒区域内だったとしても、今回の雨量では、避難情報を出していなかったとしています。では、なぜ土砂崩れが起きたのか、その原因究明が急がれます。

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