「台風は来るのが分かる」「備えることができる」伊勢湾台風の体験者が語り継ぐ悲惨さと教訓
伊勢湾台風の被害が最も大きかった名古屋市南区で、台風の記憶を語り継いでいる男性がいます。今も忘れることのできない台風の悲惨さと、学んだ教訓について話を聞きました。
竹内健雄さん:
「もう二度と、二度と遭いたくない」
竹内健雄さん、76歳。小学5年生の時に伊勢湾台風を体験しました。
竹内さん:
「いたるところ、こういう状況だった」
竹内さんが住む南区では、伊勢湾台風の犠牲者の約3割にあたる1417人が亡くなりました。竹内さんは65年前の9月26日、母と妹と伯父の4人で自宅にいました。
竹内さん:
「午後9時半くらいかな。4人で座ってじっとしていたら、畳がふわっと浮いた。そうしたら伯父さんが、『危ないから押し入れに入れ』と。それで4人で押し入れにのぼった。見たら、まだぼこぼこ水が入ってくる。伯父さんが押し入れの天井の板を開けてくれて、天井裏へ4人で逃げた」
しかし…
竹内さん:
「まだ水がくる。だから屋根を破って『屋根の上へ逃げろ』と言って、4人で逃げた。それからずっとすごい音。風と雨と。屋根のてっぺんで4人でしがみついてて」
その日は屋根の上にしがみついたまま眠った竹内さん。目が覚めたとき、飛び込んできた光景に衝撃を受けました。
竹内さん:
「ふっと屋根から下を見たら、屋根の下屋のギリギリのところまで水が来ていたので、うわーと思って見たら、ラワン材だとか、いっぱい水面にあって、亡くなった人も3人くらい。そこのところで亡くなっていた人もいた」
恐ろしい台風の体験から、竹内さんが得たものがありました。それは今の生活につながる教訓です。
竹内さん:
「台風がくるというと、まず家の植木鉢を全部家の壁にくっつける。飛んで近所に迷惑をかけないように。それから洗濯物を干す台、物干しざおも、必ず家の方にくっつける」
65年経っても、9月26日は竹内さんにとって特別な日です。
竹内さん:
「この日がくるにしたがって、その当時のことを改めて思い浮かべて、やっぱりいろいろな備えをしなければならない。自身もそうだし、自分の子どもに対しても、自分の孫に対しても、備えをしなければいけないということを思い出させてくれる1日」