「ポテライト」でジャガイモの変色を防げ 北海道電力のLED技術が植物の成長を変える

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北海道のジャガイモ生産量は全国の8割を占めていますが、その一部が光による「緑化」により食用として販売できず、デンプンの原料などに回されてしまいます。この問題を解決するために、北海道電力が開発した「ポテライト」が注目されています。ポテライトは、ジャガイモの緑化を防ぐために特別な光を使用。農業現場での作業効率を大幅に向上させる効果があるのです。

ジャガイモの緑化問題とその影響

ジャガイモの「緑化」問題

北海道ではジャガイモの生産が盛んですが、収穫された一部のジャガイモは光による「緑化」により変色し、食中毒の原因物質であるソラニンが増加します。このため、これらのジャガイモは食用として販売できず、デンプンの原料などに回されてしまいます。

ポテライト

この問題を解決するために、北海道電力総合研究所が開発したのが「ポテライト」です。ポテライトは、光の波長が異なる2つのLEDを使用しており、「白」が明るさを確保。「赤」が葉緑素の合成を抑制する効果があります。これにより、ジャガイモの緑化を防ぐことができます。

北海道電力総合研究所 原田和夫主幹

北海道電力総合研究所 原田和夫主幹:
「何かが起こると、それを戻すような制御するような働きは、体の中にいくつもあります。『光で起こる現象だから、光で抑えることができるだろう』という発想があったんです」

開発のきっかけは地域の声でした。「北電さん、なにか電気を使ってうまく抑えるような方法ないですか?」との相談を受けたのです。

ポテライトの効果と現場での実感

緑化によるロスが約2割減少

ポテライトの導入により、緑化によるロスが約2割減少し、商品価値が向上しました。しかし1セット5万円以上と高価であるため、普及率はまだ1割程度。現場では、効果を実感している声が多く、今後の普及が期待されています。

普及と今後の展望

2027年には蛍光灯の生産が終了

蛍光灯は「水銀に関する水俣条約」により、一般照明用の製造・輸出入を2027年までに段階的に廃止することが決定しています。このタイミングでLEDへの転換が進むことが期待され、ポテライトの需要も拡大すると見込まれています。

日本経済新聞社 札幌支社
燧(ひうち)芽実記者:
「北海道電力は昨年、エネルギー以外の領域を中心に投資や事業展開をし、地域の課題解決につなげる新組織を発足させました。電力小売り全面自由化のなか、電力販売だけではないビジネスを発掘し、事業として育てられるかが重要になっています」

ポテライトの他分野での応用

ハイアールの冷蔵庫の日本向けブランド「アクア」に採用

ポテライトの技術は静岡県のホワイトアスパラの栽培や、北海道赤平市の胡蝶蘭の培養にも応用されています。さらに、冷蔵庫メーカーのハイアールの冷蔵庫にもポテライトを導入。野菜室に「赤い光」が照らされています。2種類の赤色LEDの異なる波長を組み合わせることで、野菜・果物の腐敗のジャガイモの発芽を抑制し、栄養分を増やす効果も生み出すといいます。

光の波長を活かした技術は、今後も新しい応用が期待されます。

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