「爪に火をともしてお金を貯めたのに…」 政府の75歳以上の医療費負担の拡大検討に高齢者からは悲鳴
今、日本は超高齢社会に突入しています。総務省が発表した人口推計によりますと、65歳以上の高齢者は年々増え続けています。2024年は、2023年から2万人増えて3625万人と過去最多を更新しました。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2045年には4000万人に迫ると予想しています。
75歳以上の医療費負担の拡大を検討 政府は高齢者にも求めたい考え
団塊の世代が後期高齢者になり始めた今、政府がある検討を始めました。それは…
岸田総理:
「高齢者を支える取り組みだけでなく、すべての世代の人が支え合い、持続可能な社会を築く取り組みが重要」
75歳以上の医療費負担拡大です。現在の75歳以上の医療費負担は原則1割です。しかし、200万円以上の所得があれば2割、年収383万円以上など現役並みの所得の場合は3割となり、所得によって負担の割合が違います。
政府は今後、3割負担の対象の範囲を広げることができるかどうか、検討するということです。2023年度の医療費が約47兆円と、3年連続で過去最高を更新していて、政府はその負担を高齢者にも求めたい考えです。
75歳以上の医療費の負担拡大 働き世代の意見は
政府が検討する方針の75歳以上の医療費の窓口負担の範囲拡大。賛成か、反対か、働き世代に話を聞きました。
40代男性:
「負担を求めるというのは、いいことなのかなと思う。若い方がどんどん減っているということだったら、高齢の方にも負担していただく」
30代男性:
「年金ですとか、所得ないし、貯蓄を持っている人であれば出していただく方が、より公平性があるのかなと思う」
40代女性:
「収入ある人限定だと思うのですけど、負担いただくのが相応の考えかなと思います」
一方、反対の立場の人も…
40代男性:
「所得が全くない人とか、資産が全くない人から取るのはどうかなとは思います」
高齢者「爪に火をともしてお金を貯めたのに…」
負担を求められている高齢者にも話を聞くと…
80代男性:
「血圧下がる薬を2つ、3つもらって、今まで1000円で済んどった。ところが3割になると、3000円になっちゃうじゃん。ちょっと負担大きいね」
今、後期高齢者は医療保険料の月々の支払も増加しています。厚生労働省によりますと、愛知の場合、2023年度の医療保険料は月額7688円でしたが、2024年度は867円増えて、月額8555円となりました。
80代女性:
「えらいことよ。だってさ、私たち、まあちょっとはあるわけじゃん、資産が。そうすると、それは爪に火をともしてお金を貯めたのに、それが持ってるからってとりあげようって、それはないよと思うけどね」
80歳の女性は、同い年の夫と2人暮らしで、年金だけで生活しているといいます。
80代女性:
「(年金の年間支給額は)50何万かな。そこから介護保険料引かれて、それからなんとか料引かれてって、手取りひと月4万円になるかならないか。爪に火をともしてためたお金を取り崩して食べてるわけよ。だから運動したりなんかして、お医者にはかからないようにしてます」