「スキマバイト」マッチングアプリが世界文化遺産認定の新潟・佐渡島で大ブレーク中 一体なぜ?
スマホなどのアプリの普及は若い人が多い大都市で始まり、地方は後になることが多いという印象を持つ人もいるのでは。ところが今、離島の新潟県佐渡市で、あるアプリが大活躍しているといいます。どんなアプリなのでしょうか。
佐渡島の観光業を支える「さどマッチボックス」
佐渡島では、金山が世界文化遺産に登録されたことで観光客が増加し、観光業が活況を呈しています。特にホテル業界では繁忙期の8月に連日満室となり、チェックアウト後の5時間は数人のアルバイトに頼っています。そんな中で役立っているのが、「さどマッチボックス」という佐渡限定のバイトアプリです。
スキマバイトアプリの仕組みと利便性
「さどマッチボックス」は短時間、1日単位で働ける「スキマバイト」の求人サービスです。例えば、4時間で4000円の佐渡金山の切符売りや、3時間40分で3800円の食器洗いなど、さまざまな求人が掲載されています。2023年6月のサービス開始から1年3カ月で127の事業所が求人を掲載し、登録人数は1700人以上。2024年8月には708件のマッチングが成立しました。
こうした「スキマバイト」は2020年ごろから都市部を中心に広がり、登録人数は約2500万人。人手不足解消の切り札になっています。
「さどマッチボックス」を立ち上げたのは佐渡市役所です。求人サイトの開発・運営は新潟市のスタートアップ企業、マッチボックステクノロジーズが担当しました。市役所とマッチボックス社は人手不足に悩む企業や店舗を訪問し、登録方法や仕組みを地道に説明。また、利用者側へのPRも積極的に行いました。
マッチボックステクノロジーズ 功刀 聖健さん:
「『こんなに応募が来るとは思わなかった』と。(利用企業から)うれしい言葉ですよね」
アプリ導入による具体的な成果
「さどマッチボックス」は求人掲載が無料で、働き手が見つかると企業は給料の20%と1件あたり500円の手数料を支払います。この仲介手数料収入で運営コストを賄い、事業の黒字化のめどが立っています。
日本経済新聞社 新潟支局 水庫弘貴支局長:
「地方にある自治体は、住民と行政の距離が近いです。そのため、民間企業では難しい、パソコンやスマートフォンが苦手な高齢者に対してもきめ細かい指導やサービスが期待できます」