オレオレ詐欺や還付金詐欺のきっかけは電話が99.9% 詐欺グループが「制度や法の抜け穴」を利用か
警察庁のデータによると、2023年の1年間のオレオレ詐欺など特殊詐欺の認知件数は1万9038件でした。このうち80%近くが65歳以上の高齢者狙いです。特殊詐欺のきっかけを見てみると、電話が全体の77.5%を占めています。中でも、高齢者が狙われやすいオレオレ詐欺や還付金詐欺の99.9%は電話がきっかけでした。特殊詐欺の被害に遭わないための対策方法を紹介します。
通信事業者の認定は比較的簡単に受けられてしまう
現状、相当数の電話番号が悪質な事業者に渡っています。これには2つの問題があるのです。1つ目は「通信事業者の認定条件」。そもそも電話番号は総務省の認定を受けた通信事業者が、総務省から割り当てられた電話番号を利用者に提供しています。通信事業者の認定は、事業計画書などの必要な書類を提出すれば、比較的簡単に受けられてしまうんです。
認定条件としてチェックするポイントは、過去に電気通信事業法や電波法に違反して有罪になったことがあるかだけ。例えば「通話や通信の記録を不当に開示した」などの行為です。仮に、特殊詐欺で有罪判決を受けた過去があったとしても認定されてしまいます。
事業の実態などを確認する義務はない
2つ目は「通信事業者間の取り引き」。電話番号は、NTTやKDDIなど大手通信事業者が個人や法人の契約者に直接提供する場合と、一度、別の通信事業者に卸して、その通信事業者が個人や法人の契約者に提供する場合があります。
今の制度や法律では、契約時に個人の場合は「本人であるかどうか」、法人の場合は登記簿などを契約者に確認することが義務付けられています。しかし、通信事業者同士の取り引きの場合、電話番号の提供を受ける通信事業者に対して、提供する側が事業の実態などを確認する義務はありません。つまり、電話番号を卸す先の事業者が本当に電気通信サービスを行おうとしているのか、あるいはほかの目的を持った悪質な事業者かどうか分からないんです。
代表者や会社名を変更して詐欺を繰り返せる状態
この2つの問題が存在する結果、特殊詐欺に使われると分かっていながら利用者に番号を提供する悪質な事業者が出てきたり、詐欺グループが通信事業者の認定を受けて手に入れた電話番号で詐欺の電話をかけたり、といったことが起きているんです。最近では、悪質な事業者が逮捕されたケースもあります。