「壊さずに住宅を生かして住みつなぐ」 中古住宅の買取・販売を行う会社の取り組み 愛知・名古屋
名古屋市で中古住宅を買い取り・再販している会社、リプライス。方針転換で事業を軌道に乗せました。業績アップの秘話とともに、「事業を通してお客さまに気づかされた」と話す社長の住宅への思いに迫ります。
“差し押さえ物件”からシフトチェンジ
今、戸建てのリフォーム物件が人気を集めています。名古屋市にあるリプライスは、中古住宅の買い取りと再販事業を展開。以前は差し押さえ物件を扱っていました。住宅ローンを支払えなくなった方から不動産競売で物件を買い取り、リフォームして販売する事業をしていたのです。
「差し押さえ物件となると、人の不幸を取り扱うことがあります。売りたい人も買いたい人も笑顔になれる商売をしたかったんです」。そう考えたリプライスの牛嶋孝之社長は、現在の中古住宅の買い取りと再販事業にシフトしました。
リスク管理と事例の蓄積
しかし戸建てを買い取ってリフォームをする事業にはリスクが伴います。買い取り後に想定外の不具合が起こると、自社で修理費用を負担する必要があるのです。中には利益がほとんどないこともあるため、同業者はごくわずか。「シロアリの害がないかどうかや、過去にいた形跡がないかとかも含めて丁寧に見ていきます」と牛嶋社長は語ります。
「『土地にする前提でこの住宅は取り壊します』と言われてしまい、さみしさや悲しさを感じる売主さんはたくさんいます。私たちは住宅を壊さず、生かして住みつないでいく事業。『思い出の我が家が壊されずに、次の方にわたっていくのはすごくうれしいわ』との声をいただくことが増えました。今の事業を始めたからこそ、気づいたことですね」
売主と買主の笑顔をつなぐ
牛嶋社長の気づきは社員にも浸透しています。
この日、リフォーム後の物件のお披露目に同行させてもらいました。物件売却客は「うれしいですね。そのまま残してもらえた感じで。愛着というか、以前の形が残っていて懐かしいな、ありがたいなって」と感慨深い様子。客の思いを次に住む人につなげることが、この仕事の意義であると営業スタッフの藤原竜之助さんは考えています。