遺骨が森林の「栄養」に 終活に取り組む人の間で注目の埋葬の新たなカタチ「循環葬」とは
人生の最後を考える終活。いま、終活に取り組む人の中で、埋葬を「森林保全」に役立てようというサービスが注目を集めています。埋葬の新たな選択肢となるのか、取材しました。
循環葬とは
大阪府北部の妙見山で提供されている新たな埋葬サービス「循環葬」。循環葬とは、遺骨を粉にして土と混ぜ、微生物の力で自然に返す方法です。土壌学の専門家の監修のもと、遺骨を細かく粉砕し、微生物が多い場所に埋葬します。
墓石がない新しい埋葬エリア
循環葬の埋葬エリアには、墓石などの目印が一切ありません。これにより管理対象がなくなり、従来の墓のように継ぎ手がいなくても放置される心配がありません。実際に、無縁墓が増えている現代の墓事情にマッチした方法です。
神戸発のスタートアップがサービスを開始
循環葬を運営するのは、神戸発のスタートアップ「at FOREST」です。2023年7月にサービスをスタートさせました。
小池友紀CEO:
「うちの母も『木が枯れて朽ち果てるみたいに死ねたらいいのにね』と言っていて、『本当にそうだな』と私は思いました」
妙見山の一部を所有する寺の副住職、副住職の植田観肇(かんじょう)さんは「森を守るには非常にお金がかかるため、一般の方がメリットを感じる形でお金を出してもらえる方法を模索していた」といいます。
循環葬の費用は48万円からで、これが「at FOREST」と寺の収益となり、寺は森を維持管理する資金を得ています。
実際の利用者の声
高瀬雅清さんは、墓じまいを行い、両親を循環葬で埋葬しました。高瀬さんは「墓守の兄が体調が悪くて。循環葬なら墓石もないし、子どもたちに墓守の負担をかけることもない」と話します。
お参りの後は、森の息吹を感じてゆったり過ごします。
高瀬さん:
「ゆっくり雲が動いていくのも時の流れで、本当に気持ちいいですね」
日本経済新聞社 中村奈都子編集委員:
「日本では今、単身者が増えて子どもがいる家庭でも、若い人たちのライフスタイルが多様化しています。こうした時代に、自分の死後を人任せにせず、自分で考えてデザインすることがとても重要になります。循環葬に限らず“自然に返る”というのが、これからの1つのトレンドになるでしょう」