大手メーカーから切られ倒産危機の町工場 仕掛けた無水調理できる土鍋が人気 秘密は高度な"削りの技術"
蒸らしも含めて2日間。釜を開けると、美しく上品な仕上がりに! だが、これで完成ではない。肝心の“削る”作業が残っている。
マシンを使って削るのは、フタと接触する部分。鍋の気密性を高めるため、細かく削り、隙間をなくす。こうすることで熱が長時間逃げず、余熱調理が可能に。中村製作所の「削る」技術が「うまい」につながっているというわけだ。
さらにこの作業には、ぜいたくな秘密があった。作業員に聞くと、「工業用のダイヤモンドをまぶした砥石を使って鍋を削っている。割れやすい陶器も簡単に削れる」とのこと。さまざまな素材を試した結果、デリケートな陶器を削るのに最適だったのがダイヤモンドだった。「空気以外はなんでも削る」その技術力が、思わぬところで発揮されていた。
山添社長は「今は陶器を削ることが一番注目されているが、我々としては、金属も削っているという自負がある。金属と陶器を融合したハイブリッドなもの、我々にしかできないようなものを検討していきたい」と語った。