リーマン・ショックで売り上げ9割減のどん底町工場、奇跡の逆転劇 ロケット部品の依頼を受けるまで
その後、また別の展示会で、ある男性から「こちら作れますか?」と1枚の図面を渡される。それは、潜水艦の部品の図面。男性は「チタンを削る技術を潜水艦の部品に生かしてほしい」と山添社長に告げる。
すさまじい水圧がかかる潜水艦の部品には、硬いチタンが多く使われている。高度なチタン加工技術を持つ「中村製作所」、潜水艦の部品メーカーが目を付けるのは当然のことだった。
図面を見た山添社長は、「細かすぎないか…」と一瞬眉をひそめるが、ここは千載一遇のチャンス。「できます。やらせてください」と答えた。
これまで以上に精密さが求められる極めて高度な作業…。ゼロからのスタートだったが、持ち前の“削る”技術で開発を進める。
そしてついに完成! これが呼び水となった。今度はうわさを聞きつけた航空機メーカーからチタン製部品の製造依頼が。こちらも初の試みだったが、見事にやり遂げることができた。さらに「ロケットの部品を作ってほしい」との電話まで。