企業が頭を悩ませる外国人労働者の研修時の「言葉の壁」 解決の秘策は仮想現実=VR 社外販売で一石二鳥
日本で働く外国人が増え続ける中、企業の研修現場を悩ませているのが「言葉の壁」です。問題の解決のため、名古屋の自動車部品メーカーが目を付けたのは、「仮想現実=VR」の世界でした。
VR技術で工場作業を疑似体験
工場の作業を疑似体験できる仮想現実・VR動画。この動画が作られたのが、大同メタル工業の関連工場です。同社は「すべり軸受け」という部品で世界トップシェアを誇ります。車のエンジンのピストンのなめらかな動きを生み出す大切な部品を製造しています。
工場内では、外国人労働者の姿が増えています。過去5年間でその数は4倍に増加。しかし、そこには言葉の壁という問題がありました。特に難しいのが社員研修。語学の問題から、教えることにも時間がかかります。
最後に作業内容に合わせて外国語で注意事項を入力すれば、VR研修動画が完成します。これにより、フィリピン人の従業員も効率的に作業手順を学べるようになりました。
このVR動画制作ソフトの導入で、大同メタル工業では研修時間を3分の2に短縮できました。同社は2020年10月からVR動画制作ソフトの販売業務も開始し、これまでに25社に販売しています。
VR研修ソフトの効果と展望
大同メタル工業 執行役員 浅野嚴文さん:
「まずは2027年度末までに、100社程度契約を結びたいと考えております。ゆくゆくは、製造業の研修にはVRが必須という流れになってもらえたらうれしいです」
日本経済新聞社 記者:
「大同メタル工業は、VRを使った社員研修で研修時間の削減や、外国人スタッフの理解度向上に成功しました。さらに、企業自身の課題解決をビジネス化・外販して収益化するという、まさに一石二鳥の取り組みと言えると思います」