コロナ禍で苦境の自動車部品メーカー 新たに作ったのは「ナイフ」 手で触っても切れない技術で新ビジネス
コロナ禍で売り上げが減った愛知県西尾市の会社が、経営の立て直しのために作った製品があります。主力の自動車部品などの加工で培った技術を生かした新製品は、新たな販路を生み出すだけなく、社長の思いを変えました。
コロナ禍で大打撃
玄関に置かれた美しいオブジェ。じつは段ボールを開けるカッターです。西尾市にある自動車用の金属部品などの加工を主力事業にしているセイワが手がけました。
セイワは取引先から発注があったものを、試作品として製造するいわゆる「下請け」会社です。コロナ禍で車自体の生産が減少すると、真っ先に打撃を受けました。
セイワ 加藤正和社長:
「8年前から2代目社長として経営をしていましたが、コロナが流行ったときに、売上は完全に3割ドンっと落ちました。これはやばいな、と」
そこで始めたのが取引先に依存しない自社製品、荷物を開けるためのナイフの開発です。
触っても切れないナイフ
セイワ 加藤社長:
「刃先は指で触っても切れることはないですね。この丸のサイズや模様、角度などいろいろ試作をやりました。削った面が美しく光るようにするのは、ノウハウがあります。側面を加工するんですけど、加工するための道具の治具(ジグ)をいろいろ工夫しています」
ナイフには、本業の金属加工で培ってきた多くの技術が生かされていました。
試行錯誤して完成した開梱ナイフは、クラウドファンディングで販売すると即日で完売に。今では名古屋の百貨店の中で販売されるなど、これまでの会社の事業ではありえなかった新たな販路が生まれました。
ナイフの開発を始めたことにより、従業員にも変化がありました。
セイワ 新実拓也さん:
「ものづくりの業界では、決まったものを決まった通りにつくるのが当たり前でした。新しいことにチャレンジする面白さもありましたし、そこで得られた技術もありました。それが働きがいや、やりがいにつながったので良かったと思います」
さらに社長の加藤さんにも変化が。