「寺は男のものだ」疑問抱いた住職の高校2年の娘 ニュージーランドで男女格差の現地調査へ
男女の性差によって生じる格差、「ジェンダーギャップ」。ジェンダーギャップをめぐっては、政治・経済・教育・健康の4分野で男女格差を分析し数値化した、ジェンダーギャップ指数というものがあり、数値が1に近づくほど男女平等。0に近づくほど不平等です。
世界経済フォーラムが6月に発表した146カ国の「ジェンダーギャップ指数」、いわば男女格差の世界ランキングでは、日本は118位。G7では最下位でした。
最近は「男性のキャビンアテンダント」や「女性の漁師」のように、昔と比べると職業のジェンダーギャップなども小さくなっているという人もいるかと思いますが、指数を見ると日本はまだまだ男女格差が大きいことがわかります。
仏教教団5宗派の住職や副住職で女性は2割に満たず
日本で男女格差が大きい業界、その1つが「寺」です。文化庁がまとめた「浄土真宗」や「曹洞宗」など、寺の数が多い仏教教団5宗派の教師数のデータによると、住職や副住職などの教師は、男性が6万1469人なのに対し、女性は7854人と、女性は全体の2割に満たないことがわかります。
寺の娘として生まれたことでジェンダーギャップについて疑問を抱き、格差是正に向けて声を上げようと取り組む高校生を取材しました。
社会人約100人に男女格差のアンケート調査
名古屋市熱田区にある寺、「西山浄土宗・清雲寺」。
住職 脇田延明さん:
「菜由、そこ終わったら反対側もお願いねー」
脇田菜由さん:
「はーい」
高校2年生の脇田菜由さん。この寺の住職の娘です。
菜由さん:
「お寺の跡継ぎは、どうしても男の人っていうイメージがあると思うんですね。私の母とかが、(周囲の人から)『跡継ぎ男の子いないね。大変だね』とか、『かわいそう』とか言われちゃってたみたいで」
実は、菜由さんは2人姉妹。寺の跡継ぎとなる男の子が生まれないことについて、母親が周囲から厳しい言葉を浴びせられ、悲しんでいる姿を幼いころから見てきたと言います。実際に菜由さんの父親が住職を務める清雲寺も、これまで歴代の住職は全て男性でした。
菜由さん:
「”寺は男のものだ“とか、周りの人たちの価値観を作ったのは何だろうって考えたときに、”日本全体の固定観念”が原因じゃないかなって思いました」
菜由さんは中学2年生のころから、職業や教育などの男女格差、いわゆる”日本のジェンダーギャップ”に疑問を抱き始めたと言います。本棚を見てみると…ジェンダーに関する本が複数並んでいます。
菜由さん:
「女性が苦しいというのはよく聞く話なんですけど、男性も苦しいという言葉に、”確かにそうだな”と思って、女性が仕事に参加しづらいのと同じように、男性も家庭に参加しづらいというのもあると思う。そういうこともこの本を読んで考えようと思った」
ジェンダーギャップへの関心はさらに高まり、菜由さんは高校1年生の時に”ある行動“を起こします。
菜由さん:
「企業のこととか全然何も知らないので、”知るところから始めないと“と思いました」
菜由さんは、プライベートの時間を使い、”社内で男女格差を感じたことがあるか”について、社会人約100人にアンケート調査を行いました。