チョウの紋様には「方言のような地域差」がある 紋様の多様性を楽しむ企画展が始まる 中部大学
チョウの紋様の多様性を紹介する企画展が7月17日から、中部大学で開かれています。中部大学応用生物学部の大場裕一教授に解説してもらいながら、紋様の魅力に迫ります。
「オオムラサキ」の紋様の違い
中部大学附属三浦記念図書館には、チョウの標本が並んでいます。入館してすぐ、展示の多さに驚きます。
石井俊大キャスター:
「いきなりずらりと並んでいますね! 採集された地域別に並んでいます。こちらの展示について教えてください」
中部大学 大場教授:
「チョウは紋様によって地域差があります。それを見てもらおうという展示です。オオムラサキの赤い紋様は、地域によって微妙な違いがあります」
石井キャスター:
「なぜ、地域ごとに特徴があるのですか」
大場教授:
「方言みたいなもので、その地域で1つの集団が過ごす中で、少しずつ(紋様や大きさが)変わるのです。住んでいる気温や標高が違うと、異なる紋様が表れることがあります」
石井キャスター:
「どのように展示を楽しむのが良いでしょうか」
大場教授:
「間違い探しみたいな感じで、気楽に『これは違う、違わない』と言っていただければ。それも1つの楽しみ方ですね」
じつは展示された標本はごく一部。地下倉庫にはさらにたくさんのチョウが眠っているとのことで、大場教授にその“秘密の地下倉庫”へ案内してもらいました。
29万頭ものチョウが地下倉庫に!
大場教授:
「地下倉庫には標本が1750箱、数にすると29万頭あります」
石井キャスター:
「そんなにあるんですね!」
大きなナガサキアゲハを見せてもらいました。
大場教授:
「ナガサキアゲハのオスは、さりげなく赤い紋様があるものとないものがあります。なぜ差ができるのかはわかっていなくて。自然が作り出したものというのが面白いですよね」
石井キャスター:
「ギフチョウの標本もいっぱいありますね」
大場教授:
「ギフチョウだけで1万頭います。古いものだと戦前から収集したもの。ギフチョウも数が減って生息しなくなった地域もあります。生きたギフチョウを見ることができないので、当時、どんな斑紋を持ったチョウがいたのか。貴重な資料になります。たくさんの数を比べることで、地域差がわかります」
これらの標本は、工学者の故・藤岡知夫さんが趣味で収集したもの。当時の理事長と藤岡さんが親しかったことから、中部大学に寄贈されたといいます。