都市で出た「ごみ」が宝の山に 廃木材を燃やして電力を生み出す注目の「木質バイオマス発電」
都会で出たごみが今、「宝の山」として注目されています。ごみをエネルギー資源として活用する取り組みを追いました。
12種類に分別された廃木材
大阪市内で建設中のマンション。今回、注目するのは、建物ではなく「廃材」です。ごみ捨て場をのぞくと、12種類に分別されていました。
長谷工コーポレーション 東川匡彦 所長:
「資源として使ってもらうためには分けないと意味がない」
分別されたものの1つ「廃木材」。これが今、都市が生む“宝の山”として注目されています。
木のごみを電気に変える
集められていたのは建築廃材だけでなく、家庭ごみの家具や公園などで伐採された街路樹もあります。都市から出てきたありとあらゆる“木のごみ”。これを電気に変えているのがTJグループホールディングスです。
まずは、廃木材を発電の燃料になる「木質チップ」につくり変えます。それを、併設された発電所で燃やし、蒸気タービンをまわすことで電力を生み出す仕組みです。「木質バイオマス発電」といわれる発電方法です。
木はもともと、二酸化炭素を吸収しているため、燃やしても大気中の二酸化炭素の量は増えず、地球温暖化対策になるとされています。
ただし、電力を安定させるため木質チップには一定の品質が必要です。不純物が入っておらず、水分量も適切でなければなりません。
金属製の異物を磁石で引き寄せる
世界的な木材価格の高騰もあり、採算が合わず、操業停止に追い込まれた発電所もあります。一方で、TJグループは品質を安定させる工夫が評価されています。磁石で金属を引き寄せ、異物を取り払っているのです。
街路樹は水分を多く含みすぎているため、家具など乾燥した木材を混ぜることで水分量を調整する独自のノウハウを編み出しました。
こうして、年間約6万トンのチップを生産し、年間4万メガワットアワーを発電しています。一般家庭約1万世帯分の電力にあたります。