安城市「焼肉屋ウルフ」店主は元プロボクサー 亡き父の言葉を胸に再起「お前のスタイルで行け」
安城市に構える人気店「焼肉屋ウルフ」。店主を務めるのは、かつて「ウルフ朝岡」のリングネームで活躍していた元プロボクサーの朝岡泰史さんです。「お世話になった人たちに恩返しをしたい」との思いから、地元の安城市に焼肉店をオープン。黒毛和牛を使用した絶品メニューだけでなく、朝岡さんの“熱い人柄”に惹かれて通う常連客も多いです。そんな焼肉屋ウルフの魅力と店主の思いに迫ります。
焼肉屋ウルフでは、朝岡さん自身が肉の中で「ナンバーワン」と話す黒毛和牛を使用しています。中でも北海道産黒毛和牛の最高級部位、シャトーブリアンは格別。分厚くカットしたシャトーブリアンは、やわらかさはもちろん、上品な味が口いっぱいに広がります。
勝ってもKO、負けてもKO
「あしたのジョー」に憧れ、中学3年生でボクシングジムに入門した朝岡さん。高校3年生の冬に初めてプロのリングに上がると、1ラウンドKO勝ちと華々しくデビューを飾りました。勝ってもKO、負けてもKOというファイトスタイルは、ボクシングファンを虜にしたのです。
しかしプロとしてリングに上がり続けているうちに、右目の視力が低下。わずか23歳という若さで、引退を余儀なくされてしまいました。
「今までにお世話になった人たちに恩返しをしたい」。朝岡さんは、生まれ育った安城市で焼肉店をオープン。リングネームや店名の「ウルフ」は、朝岡さんの父・一人さんから受け継いだそう。トラック運転手として働いていた一人さんは、無線のコールネームを「ウルフ」にしていたといいます。
父のコールネーム「ウルフ」を受け継ぐ
じつは父の一人さんは、朝岡さんのプロデビューを見届けたわずか2週間後に交通事故で他界しました。亡くなる直前、一人さんは朝岡さんにある言葉をかけていたといいます。
「お前は“お前”で行け、俺の子どもだから間違いない。お前は“お前のスタイル”で行け」
これが遺言だったんだな、と当時を振り返る朝岡さん。一人さんのコールネーム「ウルフ」の名を胸に、ボクサーとしての人生を駆け抜けました。そしてトランクスには「BIG FATHER」の文字が刻まれています。