食料自給率38%はウソ!? 「日本で卵が食べられなくなる事態も」 流通を遡ると見える食料危機
現代の野菜作りに必要な“アレ”も輸入頼り
野菜の生産で輸入に頼るのは「種」だけではない。
茨城県・鹿島港。この日、巨大な貨物船が到着し荷下ろしが行われていた。甲板からのぞくと、茶色い砂のようなものを大量に積んでいる。
JA全農土 村茉里奈さん:
「これはカナダ産の塩化カリウムになります」
「塩化カリウム」は根の発育を良くする肥料の原料で、「りん安」や「尿素」と並び、現代の野菜作りに欠かせない。それらの資源を、日本はほぼ100%輸入に頼っていた。
つまり、肥料も種も輸入が頼り。野菜のホントの自給率は、たった3.8%しかないのだという。
ほぼ100%とされる“コメ”もヤバい!?
では、自給率ほぼ100%とされるコメはどうか?
政策コンサルタント 室伏謙一さん:
「肥料の輸入を考えれば、コメの実際の自給率は11%」
農林中金総合研究所理事研究員 平澤明彦さん:
「燃料の輸入が止まれば11%より低くなる」
農水省が発表している日本全体の食料自給率はカロリーベースで38%(2022年度)。生きていくのに必要なカロリーの38%しか自給できていないのだが、東京大学大学院の鈴木宜弘特任教授の試算によれば、実際はもっと低く、自給率はなんと10%なのだという。
異常気象や戦争などで食料危機が起きたらどうなるのか? アメリカなど友好国ならば、手を差し伸べてくれると期待したいが…
政策コンサルタント 室伏謙一さん:
「それは非常に甘い考え。危機になれば自国民最優先になる」
国際ジャーナリスト 堤未果さん:
「アメリカにとって食料は戦略物資、武器という位置づけ。頼れば見返りを求められる」
身近にあふれる食。それは平時に限られた、かりそめの姿にすぎない。