歩いて「お遍路」はもう古い 車やDXでお遍路さん減少に歯止めを 将来はデジタル朱印も
1200年の歴史があると言われる「四国遍路」。近年、遍路客数が減少しています。遍路客を呼び戻そうと、札所である寺や民間がさまざまな取り組みに乗り出しています。
お遍路、30年前の3分の1以下に減少
弘法大師・空海ゆかりの、八十八カ所の札所を巡る「お遍路」。長らく四国の観光産業を支えてきました。しかし、そのお遍路さんは年々減っているといいます。
多くのお遍路さんが使う徳島県にある21番札所・太龍寺のロープウエーの利用者数を見ると、4万6000人余りと30年前の3分の1以下に減少。さらに同時に起きているのが「高齢でも働く人たち」の増加です。
お遍路さんたちを支援するNPO法人では、「四国遍路をする時間がない人が多い」と分析しています。
NPO法人 遍路とおもてなしのネットワーク
半井真司理事長:
「最近は退職年齢が伸びたり、四国遍路をする時間がなかったりする人が増えているのがひとつ考えられます」
お遍路さんの中心は、退職した高齢者。しかし近年、シニア雇用などで働く期間が伸び、退職した頃には1400キロの道のりを歩くのが、難しくなっているといいます。
70代の遍路客:
「体力的に参道の階段がとてもじゃないけど無理です」
60代の遍路客:
「どちらかというと気力ですね。札所間が長いところもあります」
「車」で巡るお遍路ツアー
そこで登場したのが、徒歩ではなく「車」で巡るお遍路ツアーです。車を降りたら境内はすぐそこ!
ツアーは香川県の旅行会社が企画し、1人34万5000円。全88カ所すべてを12日間で巡ることができ、ほとんど完売状態とのことです。
日本経済新聞社 高松支局 鈴木壮太郎支局長:
「年配の方でも回りやすい四国遍路のツアーは、いま大変な人気です。ただ、シニア頼みでは四国遍路は先細りになってしまいます。若い世代や外国人にも開かれた遍路にする必要があります」
自分だけの1点もの「NFTアート」
金倉寺を含む7つの寺がある実証実験を行っています。
訪れた参拝客が、スマートフォンをポスターにかざし、二次元コードを読み取ると弁財天を描いたキャラクターが。じつはこれ「NFTアート」です。デジタル資産として所有権を証明されるもので、それぞれが「自分だけの1点もの」になります。
仕掛けたのは寺の僧侶です。
金倉寺 村上哲済 副住職:
「下の(若い)世代はデジタルに対しての余り抵抗感がありません。将来的にはデジタルの需要が絶対に必要だろう、と」
少しでも関心をもってもらうきっかけになればと、今後は「御朱印」のデジタル化などを実現したいといいます。
「デジタルのお守りやおさい銭もデジタルにするなど、いろいろな方法があっていいと思います。その人にとって、1番フィットする手段・やり方がある。時代に即した新しい形を提案していくようになると思います」