訪日外国人に人気の土産は「アロハシャツ」 日本の土産に「アロハ」が選ばれるわけ
訪日外国人の数が急増する中、外国人に人気となっているお土産があります。それはアロハシャツ。日本のお土産にアロハと思いきや、日本ならではの素材で作られていました。
外国人に人気の「サムライアロハ」
光沢のあるシルクに、日本の花をあしらった和風のデザイン。「サムライアロハ」と呼ばれるこのアロハシャツがいま、外国人に大好評なのです。
1着2万7000円(免税)と決して安くはありませんが、1坪ほどのスペースで月300万円を売り上げます。サムライアロハのシャツはどれも1点ものです。
製造現場を訪ねて宮城県仙台市に向かいました。
サムライアロハの事務所は、買い取りショップが入る小さなビルの2階にあります。桜井鉄矢社長が取り出したのは古い着物。
サムライアロハ 桜井鉄矢社長:
「もったいないと思います。国内で2億着が着られず、廃棄される運命にあるというデータもあります」
じつは1階の買い取りショップも経営する桜井社長。 そこで買い取った着物をリメークしています。シャツづくりの最大のポイントは、どう裁断するか。着物の柄を最大限活かすため、カットの仕方1点、1点、納得行くまで考えます。
起業のきっかけは東日本大震災でした。学校や保育園も大きな被害を受けました。
母親たちが子どもを預けずに自宅でもできる仕事をつくりたい。
ひらめいたのは、着物をリメークするアロハシャツづくりでした。裁断など業務の9割近くはいまも、自宅で行われています。
裁断した布地は縫製を委託する工場へ。こちらの工場は海外有名ブランドからの仕事も請け負うなど、 高い縫製技術を持っています。職人の手でアロハシャツが縫い合わされていきます。
残った布地は無駄にせず、ネクタイに使用
斜めのラインがピッタリ! 肩には、大きな波しぶきがデザインされています。
さらにアロハシャツを作った残りの布地も無駄にしません。四角く切った布地を縫い付けたパーカーは1万8700円(税込み)、ネクタイは1万3200円(税込み)です。
日本経済新聞社 仙台支局 三宅樹記者:
「廃棄される浴衣や着物を有効活用することによって、高価値化に成功しました。相続物や遺品の中には捨てられるものがあります。アップサイクルによって、ビジネスチャンスを掘り起こすことができるかもしれません」
サムライアロハ 桜井鉄矢社長:
「廃棄される伝統工芸品を見ると心が痛みます。海外の方や日本の若者向けてもっと気軽にできる伝統産業を目指していきたいです」