名古屋コーチンが国際宇宙ステーションに サガミ開発の宇宙食 JAXAへの提出資料は700ページに
和食チェーンのサガミは、名古屋コーチンを使った宇宙食を開発し、国際宇宙ステーションに提供しました。開発の裏には、思いもよらない苦労がありました。
国際宇宙ステーションに持ち込まれた名古屋メシ
和食レストランチェーンの「サガミ」。店の人気商品はそばですが、レジの近くでは「名古屋コーチン味噌煮」が販売されています。8種類の具材が入ったレトルト食品です。じつはこの名古屋メシは「国際宇宙ステーション」で食べてもらうために作られました。
国際宇宙ステーションは地球から約400キロ離れた宇宙に浮かぶ実験施設。2021年4月から約5カ月間、船長として指揮をとっていたのが、日本の宇宙飛行士・星出彰彦さんです。星出さんとともに国際宇宙ステーションに持ち込まれたのが、サガミの「名古屋コーチン味噌煮」でした。
JAXA 宇宙飛行士 星出彰彦さん:
「いただきます。お肉だけじゃなくて、にんじんやこんにゃくとかいろんな食材が入っていて楽しめます」
宇宙日本食として、星出さんの長期にわたる宇宙での食生活を支えました。
宇宙日本食を開発したのは、サガミレストラン開発課の榑林功真(くればやし・かつま)さん。もともと防災食を作りたかったといいます。
榑林功真さん:
「ただ単に防災食をつくらせてほしいと言っても『うん』と言ってもらえないと思いまして、防災食と宇宙食は長期保存食。宇宙食を作りたいと言ったらどうかと」
ところが使用する設備の説明や工場内の図面など、膨大な量の資料の提出が必要でした。「JAXAに(提出した)宇宙日本食申請資料。だいたい700ページくらいあります」と榑林さん。
製造工場にも厳しい条件がついていた
製造工場にも厳しい条件がついていました。たとえば工場内には、虫やほこりなどが入り込まないよう細心の注意が必要です。
石田缶詰 石田雅則社長:
「(手前と奥に)2枚重ねでシートシャッターを設けることで、昆虫の侵入を防いでいます。風が吹き出してきますが、その中にほこりとかゴミくずがある場合があり、フィルターをつけてキャッチすることで異物混入を防止しています」