成功率10%の超難易度「メタボな蛇口」製造工程を初公開 赤字でもオンリーワン商品がブランディングに

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蛇口の砂型

まず、ざるで鋳物砂の塊を崩したら、専用の道具で枠に詰める作業を繰り返す。しかし機械と違って手作業のため、砂型の強度を保つことができず、注いだ銅が漏れ出すリスクも。今回は10個の砂型を作ったが、吉岡工場長もどこか不安な様子だ。

スタンダードな蛇口同様、ドロドロに溶かした銅を炉から容器に移し、砂型へと流し入れる。

しかし、横から銅が漏れ出してしまった!

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ドロドロに溶けた銅

「あかんやん!」とつぶやく吉岡工場長。10個のうち6個に同様の事態が起きたが、銅が漏れたとはいえ、形になっている可能性もある。

銅が先端まで行き渡らず失敗

2時間後。砂型を割って中の銅を取り出してみると、1つ目は銅が先端まで行き渡っていなかったため失敗。3つ連続で失敗となったが、4つ目は見事成功していた!

関門2 研磨作業

蛇口の溝を研磨するのは至難の業

10個のうち6個が成功し、次のステージへ! 研磨作業を行うのは、この道30年の超ベテラン・加工部の野村彰さんだが、野村さんの腕を持ってしても、かなりの難しさだという。丸みを帯びた形を研磨するのは至難の業で、最も難しいのが溝だ。ほかの部分と同様、ピカピカにする必要がある。

胴体を丁寧に磨きあげる

何度も機械をチェックし、胴体を滑らかに回しながら均一に力を加えていく。そして最後に残ったのは、「最も難しい」と言っていた溝。野村さんは熟練の技を駆使し、1回1回表面を見ながら丁寧に磨き上げる。

研磨したピカピカの蛇口

ほかの部分と同じように、ピカピカに仕上がった。その後も作業は続き、無事にノーミスで6つ終了。

関門3 傷チェック

蛇口の胴体の傷

お次は、厳しい目を持った番人が、傷がないかチェックする工程。こんなに小さい傷でもアウト。ここで見逃すと、完成したとしても不良品となってしまうのだ。吉岡工場長も固唾を飲んで見守るが、次に進めたのは、たった1つだけだった。

関門4 “気泡&通水”チェック

蛇口の検査

いよいよ蛇口を組み立て、水を使った検査を行う。水に浸して気泡が出ないか確認すると、無事クリア! そして実際に水道に取り付け、水が通るかをチェックする。

蛇口から水が出た

蛇口に水が通り、思わず「よっしゃ!」とガッツポーズを決める吉岡工場長。さまざまな関門を乗り越え、完成したのはわずか1つ。本当に成功率10パーセントだった。

ユニークな蛇口を手掛ける株式会社カクダイ、今後はどんな蛇口が誕生するのか楽しみだ。

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