あえて「きれいではないペットボトル」に注目 リサイクル企業 光を使って樹脂の種類を分別
街角のごみ箱などから回収されるペットボトルは、ラベルがついたままだったり、ごみが入っていたり、ペットボトルへの再生が困難です。汚れたペットボトルを再びペットボトルに、水平リサイクルするための工場を取材しました。
岡山県北部の津山市。西日本の大動脈・中国自動車道のそばに、この春、日本の資源循環のカギを握る工場が稼働を始めました。大手3社が共同出資で立ち上げた、サーキュラーペットです。
工場に集まっているのは、街角などで回収したペットボトルです。中には吸い殻など異物が含まれたものも。人の手で選別するところから、製造が始まります。汚れが付いたものを中心にリサイクルしています。
そもそも、ペットボトルの回収は「家庭」と、「店舗や自販機横など」の2つのルートがあります。その割合はほぼ同等。家庭から回収されたものは、自治体のルールに従ってラベルを外しすすがれた「きれいな」状態です。
ボトルを再びボトルに生まれ変わらせる取り組みは「水平リサイクル」と呼ばれています。飲料メーカーが積極的に推進していますが、業界全体ではまだ3割程度に留まります。
サントリーHD サステナビリティ経営推進本部
越野多門課長:
「『屋外で排出されるペットボトル』は、ボトルtoボトル。水平リサイクルに適さない品質のものが多いといったところが現在の課題です」
家庭外から集められたものは、より高い純度を求められる、ボトルへの再生には不向きとされています。そんな中、「きれいではないボトル」に特化して、水平リサイクルに挑むのがサーキュラーペットです。
光を使って樹脂の種類を細かく判別
秘密は独自のノウハウを結集させて作った専用ラインです。案内してもらったのは、巨大な装置。この中では刃物が回転して、ボトルからラベルを剥がし、ベルトコンベヤーへ。
数々の機械で自動化が図られた工場内。洗浄と選別を何度も繰り返します。工程を重ねると、ボトルはここまできれいになりましたが、さらに選別。光を使って樹脂の種類を細かく判別します。
ラベルがわずかに残ったボトルも見落としません。「手に負えない」とされてきた材料を、水平リサイクルに求められる水準まで引き上げ、ボトルの原料となる合成樹脂に再生します。