「牛乳の消費が落ちている」→「だから価格は上げられない」 牛乳が大ピンチ 酪農家はギリギリの経営
全国の「酪農家」が危機的状況です。酪農家は1963年に約41万7千戸でしたが、年々減少していて、2023年は、約1万2千戸になりました。いま酪農の現場では何が起きているのでしょうか。
約7000キロのエサを牛に与える牧場 エサ代や電気代が高騰も牛乳安く
新城市にある大東牧場です。経営しているのは森富士樹さん(44)です。1日あたり約4トンを搾乳し、乳業メーカーに出荷しています。
小林圭太記者:
「甘いです。普段飲んでいるパックの牛乳より甘い気がします。濃厚なんですが、後味がスッキリしています」
生乳の売り上げが大東牧場の主な収入源です。しかし・・・。
大東牧場 森富士樹さん:
「エサ(の費用)は上がって、乳(牛乳の価格)は安くて。牛乳の消費は落ちていますし、なかなか厳しいですね・・・」
こちらでは1日に約7000キロのエサを牛に与えていると言いますが・・・
大東牧場 森富士樹さん:
「ここが草(エサ)の倉庫、全部輸入になります。けっこうな水準で高騰しています。コロナ前と比べたら3割くらい上がっている」
輸入飼料の取り引き価格は、ロシアのウクライナ侵攻により穀物が品薄になったことに加え、「円安」により上昇しています。
大東牧場 森富士樹さん:
「国は自給飼料をすすめているが、愛知県は土地もないし機械もない。変に安いエサとか使って、牛のコンディションを落として不健康になって乳が出ないとなるのは1番、酪農家としては問題。牛が健康なのが1番なので」
上がっているのはエサ代だけではありません。
大東牧場 森富士樹さん:
「でかいですね、電気代は。1割くらい増しているのかな。牛は暑さに弱いのでこれくらいの時期はバンバン(扇風機を)回して暑さ対策」
エサ代、電気代などの値上げもあり今はぎりぎりの経営だと言います。
街の人「牛乳飲んでないです」牛乳の消費量は15年間横ばい
さらに、こんな問題も。
街の人:
「毎日飲みますね」
「牛乳ですか? 飲んでないです」
「牛乳飲んでないです」
農林水産省によりますと、牛乳の消費量は1990年頃をピークに減り続け、2009年頃から横ばいの状況が続いています。
街の人:
「匂いが苦手ですね」
「あんまり飲まなくなったんですけど、ごはんと牛乳が合わないって思うようになったんかな」
もっと牛乳を飲んでもらいたい。6月11日、中部地方の酪農家で構成する団体が東海農政局を訪れ、牛乳をPRしました。これは、父の日に、牛乳をプレゼントしようという取り組みの一環で、団体では、今後も酪農家の地位向上を目指す考えです。
大東牧場 森富士樹さん:
「牛乳の価格に転嫁してほしい。牛乳の消費が落ちているというのを引き合いに出されて(価格を)上げてもらえないので、消費者のみなさんにはたくさん牛乳を飲んでいただいて、少しでも助けていただけたら」