10年で売り上げ倍増の町工場は従業員の半分がベトナム人 優秀な外国人人材をヤル気にさせるカギは

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深刻化する人手不足の解消として期待されるのが「外国人材」。優秀な外国人から”選ばれる企業は、いったい何をしているのか。一歩先をいく中小企業の取り組みを取材しました。

設計はベトナム人の正社員が行う

従業員約100人のうち、50人がベトナム人

日本有数のコリアタウンがあり、約60カ国の人が暮らす、大阪市生野区。排水溝の金属パーツを製造する三栄金属製作所は、同業他社の買収などを背景に、売り上げはこの10年で2倍に増えています。同社の従業員約100人のうち、50人がベトナム人です。

設計を担うのは、ベトナム人正社員のビックさん。地元の大学で機械工学を専攻したエリートです。ビエンさんは、IT技術者。会社の品質管理システムを自ら刷新しました。いずれも会社の“要”と言える役割です。

三栄金属製作所 文敬作社長:
「もう日本の方以上に、こんな優秀な方が私の会社に来てくれるんか、とうれしくて」

永住者は10人、長く働けばステップアップも

設計担当のグェン・ゴック・ビックさん

ベトナム人50人のうち、パートタイマーをのぞく40人が正社員。正社員たちの在留資格は「技能実習生」や「特定技能」などさまざまですが、長く働けばステップアップも。「永住者」は10人になりました。

先ほどの設計担当・ビックさんは、5年前に念願の戸建てを購入。給与体系は日本人と同じです。彼が呼び寄せた弟が、品質管理担当のビェンさんです。

品質管理担当 グェン・バン・ビェンさん:
「一番はお金。ベトナムだと貯金はできません」

田島工場

一方、本社近くにある田島工場。廃業寸前の他社から買収したのですが、工場長はベトナム人のトゥンさん。7年前、技能実習生として来日。2023年、真面目な仕事ぶりが評価され、抜てきされたのです。

文社長:
「“会社は認めてくれる”と、認めたら“上に行ける”と。そうした仕組みをつくりたいです」

日本語教室を開講、言語や生活面をサポート

週に1度、日本語教室を開く

日本語がまだ不自由な人のケアも重要です。トゥン工場長に、ブリッジ人材として、日本人との橋渡し役になってもらったり、会社主導で日本語教室を週1回開いたり。さらに住まいや子どもの塾を探すなど、生活面でもサポートしています。交流を深めるため、フットサルも開催します。

田島工場 工場長 チャン・バン・トゥンさん:
「将来もできれば日本に住みたい。日本で働きたいです」

「ベトナム法人で人材育成をしたい」と文社長

日本経済新聞社 高橋圭介シニアライター:
「ベトナムには3月と10月に『女性の日』があります。この会社では小さなプレゼントを用意して手渡そう、と。そうした細かな気遣い、制度には収まりませんが、そうしたことがあるかどうかで、彼らの満足度はすごく違ってきます」

文社長:
「(ベトナムの)現地法人で人を育てたいな、と。日本では協賛してもらえるような。人を育てる会社とマッチングすれば、みんながウィンウィンの関係になります。65歳なので、残りはそっちにかけたいです」

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