「日本の麺文化を世界へ」 世界中から生徒が集まる「麺の学校」 ミカンとバナナのフルーツラーメン
世界中から生徒が集まる“学校”が香川県にあります。学べるのは日本が世界に誇る「麺」です。
ブラジルやフィジーなど、外国人が麺を学ぶ
瀬戸大橋を臨む香川県宇多津町の建物の一室ではラーメンをつくっています。タコやイカ、トマトをトッピング。中にはミカンやバナナがのったフルーツラーメンなど、一風変わったものも。手がけるのはブラジルやフィジー、上海から来た人々です。
「麺の学校」と名付けられたこの場所では、国内外に6000人を超える卒業生を輩出しています。近年は生徒の半分が外国人で、多くは卒業後、海外で店を開いています。
フィジーで飲食店を経営するリン・ヤオさんがつくろうとしているのは羊のスープ。
リン・ヤオさん:
「(フィジーでは)多くの人は牛や豚を食べません。主に鶏や羊、海鮮を食べます」
麺に羊のスープダレを絡めて食べるまぜそばです。
ラーメンがいきなりつくれるようになるのは、麺学校が外国人の要望に応えながら蓄積した数千種類のレシピがあるから。海外ニーズの高いビーガンやハラルなどにも対応。調味料などの分量はすべて数値で示され、帰国後も再現できるといいます。
「単価安かったら成り立たない」経営塾も指導
さらに経営術も指導。教えているのは藤井薫校長です。
大和麺学校 藤井薫校長:
「ブラジルにもラーメン店はありますが、売り上げが問題です。日本だとランチで大体3回転です。海外は1回転しかしない。だから単価安かったら成り立たちません。クオリティーの高い(ラーメンを提供する)。そういう風な方向にどんどん変わっています」
出店場所の選定や商品価格の設定、従業員の雇用まで、店の立ち上げや経営に必要なノウハウを一通り指導。授業料は6日間で45万円です。
製麺機をつくる機械メーカーが麺学校を運営
麺学校を運営する大和製作所は、機械メーカーです。ラーメンや、うどん、そばなどさまざまな麺に対応する製麺機をつくっていて、小型製麺機の国内トップシェアを誇ります。そんな会社が、なぜ麺学校を?
日本経済新聞社 高松支局 鈴木泰介記者:
「製麺機の販売事業において、麺学校の生徒は将来の顧客になりうる存在です。授業でも製品の性能をアピールしています。生徒も製麺機を購入すれば、卒業後も手厚いサポートを受けられるため、Win-Winなビジネスとなっています」
今や製麺機の販売先は70カ国以上。売り上げの5割が海外向けです。「日本の麺文化を世界へ」ラーメンに続き、うどんやそばもグローバルフードに成長すると藤井さんは確信しています。