ほしい技術を探して購入するモノづくりのフリマサイト 存続危機の町工場の救世主となるか
丸菱製作所 戸松専務:
「きっかけは協力会社の『この設備が壊れたらやめようと思っている』という社長の言葉でした。30年先に元を取るような投資ってなかなかできない。設備を導入しない選択をしたとしても、誰かに頼んで事業を継続していく。皆さんに設備をシェアすることによって、きちんと稼働して利益を上げられるような枠組みをつくっていきたいです」
愛知県内の町工場を中心に約450社が登録
ASNAROを利用している町工場を取材しました。春日井市にある金属加工の前田鐵鋼です。この会社が手がけるのは、機械部品の材料となる鋼材の加工前の下処理。例えば、鋼板は表面に細かい凹凸があったり歪んでいたりしています。それを専門の研磨機できれいに磨き、平らにするのが仕事です。
精密な機械部品をつくるには必要な工程です。これまで発注元のほとんどは自動車関連でしたが、ASNAROを利用するようになり、取引先が広がったといいます。
前田鐵鋼 常務取締役 前田隆宏さん:
「ASNAROを使ったのは約2年前。我々が想像していなかったところからの協力のパイプがつながって、違う業界からの引き合いがきました。実際の仕事にもつながりました」
戸松専務:
「『後継者がいない』『子どもが継ぎたくない』かつての私もその1人でした。今は親が子に継がせたくないので、廃業するという方が増えてきています。私も息子が生まれたときに、家業をこの状態で継がせるのかと考えたことがありました。最低限、息子たちが継ぎたいと思ったときに、父親たちが『継がせたい』と思う業界をつくっていくことが必要です。そんなモチベーションでASNAROを展開しています」
現在ASNAROは、愛知県内の町工場を中心に約450社が登録しています。戸松専務は2025年までに1000社の登録を目指しています。